I want to protect you
□十一章
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「リマナ、今夜は夏祭りよ!」
「え・・・そうなんですか?」
夏も終わりに近いある日の午後。
フームの家に呼ばれて来てみると、どうやら祭りの誘いみたい。
「ええ!一緒に・・・あ、駄目ね。」
フームは思い出したように言う。
「どうして駄目なんですか?」
「だって・・・リマナはメタナイト卿と行くんじゃないの?」
「何故そんな話に?」
「あら、この前の肝試しの時からずっとメタナイト卿の所に泊まっているじゃない。そういう関係なんじゃないの?」
「ちっ違いますよ!それはメタナイト卿が「私がどうかしたか?」
このタイミングで普通来る・・・?
大臣家の扉を開けて来たのは噂のメタナイト卿だ。
「ああ、メタナイト卿。今夜の夏祭り、リマナと出るんですよね?」
「そうだな。私はそうしたいと思っている。」
「えっ?」
この人・・・今なんて・・・?
そんな話今聞いたんだけど・・・。
「やっぱりそうなんじゃない。リマナ、6時になったらもう一回私の家に来てね!浴衣持ってないでしょ?私二着持ってるから貸してあげる♪」
どうしてそんなに楽しそうなの・・・。
「はあ・・・メタナイト卿。ちょっといいですか?」
「ああ。」
「じゃあね〜リマナ。また後で!」
フームと別れ、私はメタナイト卿を連れて城の中庭に来た。
「どういうつもりですか?一緒にお祭りに行くなんて聞いてませんよ?それに、貴方が無理矢理泊まらせたりするからフームが誤解してるじゃないですか・・・。」
「そなたが足をくじいたりするからだろう?実際、あれから数日は歩けなかったはずだが?だから泊まらせたんだ。」
「・・・じゃあお祭りの件はなんですか?」
「私がそなたと共に参加したかった。それだけだ。」
「・・・勝手です。」
「嫌なのか?」
嫌ではない。
ただ、あの肝試しの日から、フーム達と・・・この人と関わるのが怖くなった。
カスタマーからの命令がある以上は最低限関わらなければならない。
でも、それ以上は関わりたくなかった。
これ以上、彼の優しさに触れたくない。
つらくなる・・・だけだから。
それだけは避けたかった。
「・・・あの時と同じだな。」
「はい?」