I want to protect you

□八章
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「今日はお休みしていいですか?」


歓迎会から数日が経ち、いつものように城に来た私は、メタナイト卿にそう告げた。


「それは構わないが・・・どうかしたのか?」


どうかしたわけではない。


ただ、この前の報告時にカスタマーに言われた通り、マナトに会いに行こうと思っただけだ。


・・・まあ、そんなことは口が裂けても言えないのだけど。


「いえ、他の星にいる弟に呼ばれてまして・・・。」


半分本当で、半分嘘。


「リマナは弟がいたのか?」


そういえば、この村の人に弟のことを話したことはなかったかもしれない。


別に話しても支障はない程度に説明することにした。


「はい。丁度ブンくらいの年齢の子です。」


メタナイト卿の目が揺れた。


「・・・そんな幼い弟を置いてきたのか?」


置いてきたくて置いてきたわけじゃない。


本当は傍に居たいと思っているし、少なくともあんな要塞には置きたくない。


「色々事情がありまして・・・。」


そう、本当に色々あった。


彼には言うことができないが・・・。


「・・・すまない。そうだな。そなたは事情もなしに弟を置いてくるような人間ではないな。」


“信頼”


メタナイト卿の私を見る目にはそれが映っていた。


心苦しさは・・・ある。


でも・・・どうあっても、私は彼の敵だから。


「ありがとう・・・ございます。」


私は偽り続ける。


それしか道はないのだと、自分に言い聞かせて。





宇宙船に乗り、ポップスターを飛び立った。


来た時と同じように、しばしワープ。


来た時もそうだったが、ワープの時の衝撃は凄い。


でも、今はあまり気にならない。


それよりも、マナトに会える喜びの方が大きかった。


衝撃が止み、馬鹿デカイ要塞が見えてくる。


カスタマーから通信が入った。


「早速来ましたか、リマナさん。マナト君がお待ちですよ。」


「そう。今、中に入るわ。」


通信を切り、宇宙船置き場に入る。


そして宇宙船から出て、カスタマーが居るであろう部屋に向かった。





「カスタマー。マナトはどこ?」


「開口一番それですか。まあいいでしょう。こちらに・・・。」


カスタマーに連れられて来たのは、今居る場所からそう離れていない小部屋。


カスタマーが鍵を開けると・・・。


「お姉ちゃん!?おかえり!」


私の姿を確認したマナトが走り寄って来た。


「こんな所でただいまなんて言いたくないけどね・・・。ただいま。」


その様子を見たカスタマーは、いつもの胡散臭い笑みを浮かべながらどこかに去って行った。


・・・どうせどこかで監視しているんだろうけど。
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