I want to protect you

□七章
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フームに手を引かれてやってきたのは村の広場。


そこは手作り感満載の、それでも華やかで温かみを感じる装飾が施されていた。


大きな看板には、


“ププビレッジにようこそリマナ!”


と書かれていた。


これは・・・。


もしかしなくても、歓迎会というやつだろうか。


「フーム、これは・・・?」


隣のフームは微笑み、説明してくれる。


「見たとおり、リマナの歓迎会よ。少し遅くなっちゃったけどね。この前のお花見のお礼も兼ねているの。」


私は別に何もしていないと思うんだけど・・・。


「リマナさん、子供たちを守ってくれたんでしょう?ありがとう。」


ホッヘの母親にお礼を言われる。


「それに・・・酔っていたわしらはリマナに危害を加えてしまったようで・・・。すまなかったのう。」


「ごめんなさい・・・。意識がなかったとはいえ・・・。」


村長さん夫婦や、他の大人達には謝罪を。


「リマナ、皆に悪気はなかったの。許してあげてくれる?」


フームに心配そうに問われた。


私は・・・。


「私は気にしていません。悪いのは、魔獣ですから。」


と言った。


村人達は安心した表情になり、フームの乾杯の掛け声で歓迎会は始まった。


「料理は俺が作ったよ〜。」


沢山のごちそうが並ぶテーブル。


ドヤ顔で手を上げたのはコックカワサキだ。


「姉ちゃん!カワサキに作らせたのか!?」


途端にブンは顔をしかめた。


「だって・・・どうしても作りたいって言うから・・・。でも安心して!ちゃんと見張ってたから。」


・・・何か問題があるのかしら。


この村唯一のレストラン経営者なのに。


「あの・・・何か問題があるんですか?」


「そっか〜リマナはまだ知らないのか。カワサキの料理はクソ不味いんだ!」


それ・・・コックとしてどうなの?


ってことは、新しいコックが来たら真っ先に潰れるわね・・・。


「酷いな〜カービィはいつも美味しそうに食べてくれるよ?」


「ぽよ!」


「カービィだけだろ!リマナ、姉ちゃんが見てたから大丈夫だとは思うけど、不味かったら無理するなよ?」


「はい。それじゃあ、いただきます。」


私は手近にあったミートローフを口に運んだ。
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