I want to protect you
□十章
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カービィはフームの指示に従って吸い込みをするけど、魔獣の持っていた骨じゃ能力を発揮できないみたい。
「ガボンはスカだ!吸い込んでも無駄だ!」
「そういうことは早く言ってよ!」
メタナイト卿の遅すぎる説明にツッコむフーム。
さあ、カービィはどうやってこの魔獣を倒すのかしら・・・?
その時、メタナイト卿はかがり火を見つけると、すぐさまそれを取りに走った。
・・・なるほど。
何も魔獣からコピーする必要はないものね。
「カービィ!これだ!」
カービィはメタナイト卿の投げたかがり火を吸い込み、ファイアカービィに変身すると、辺り一面を火の海にした。
魔獣は倒された・・・けれど。
少し火力がありすぎたみたい。
火事になってしまった。
「逃げるんだ!」
「急いで!」
メタナイト卿とフームの言葉に、一斉に走り始めた。
だが、私は途中でまさかのドジを踏んでしまった。
ベタだけど・・・階段でつまずいて転んでしまったのだ。
「いった・・・。」
火は間近に迫っているというのに・・・。
最悪なことに、足も挫いてしまったらしい。
「リマナ!?大変!メタナイト卿!リマナが!」
すぐ前を走っていたフームとカービィが気づいて駆け寄って来てくれた。
フームが呼んでくれたおかげで、メタナイト卿も気づいてくれたみたい。
ブンもそれに気づいて戻って来てくれた。
「フーム・・・危ないから早く逃げて下さい。私は大丈夫です。」
「駄目!メタナイト卿、リマナを!」
「足を挫いたのか・・・。仕方ない。私に掴まっていろ。」
言うが早いか、メタナイト卿は私を抱き上げて走った。
私は抵抗もできず、そのままメタナイト卿に掴まる。
私達はギリギリで外に出ることに成功した。
・・・誰か忘れている気がするけど。
でも、綺麗な朝日を見たらどうでもよくなった。
「大丈夫か?帰ったら冷やした方がいいな。一度城に連れて行く。」
「え・・・大丈夫ですよ。ほっとけば治ります。」
「いいや、駄目だ。部下が怪我をしたのに放っておけない。」
「・・・せめて下ろしてくれません?」
「悪化したら困るだろう?駄目だ。」
「そうよリマナ。大人しくして。」
・・・結構強情な人だな。メタナイト卿も、フームも。
本当、下ろして欲しい。
これ以上、優しくしないで欲しい。
私は、敵なのに。どうして危険な目に合ってまで助けるのか。
苦しい・・・。胸が、痛んだ。
顔が、歪む。
「・・・・・・・・・・。」
そんな私の顔を、金色の目が静かに見つめていた・・・。