君がいる夢、あなた達がいる夢
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最近4人揃って見る夢に出てくる少女。
毎晩俺たちは5人で楽しく過ごし、目覚めとともに「またね」と別れる。
何度も少女と会って遊ぶ度、目が覚める度、現実の俺たちの中にいてほしいと思うようになった。
その少女、●は実際に、日本のどこかにいるような気がしている。
いつか俺たちは会える。そんな気がするんだ。
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もう2週間も前になる。
暦の奇跡がもたらした9連休で調子に乗っ取た俺たち4人は、一晩中俺の汚部屋でゲームをし、飲み明かした。
あろまとえおえおが寝たところまでは覚えてる。
きっくんとフラフラしながら飲み続けて、たぶん寝てしまって、気づいたら俺は、俺の部屋でゲームをしていた。
「ダントツ1位だぎゃあああああ」
「俺の青甲羅が火を噴いたぜ」
「ざまぁw」
俺の横にはいつも通り騒いでいる男が3人。
お前ら寝たはずじゃ…あれ?
「おいFBなにぼーっとしてんだよ」
「おまえビリだぞ」
「あ いっけね! ここから怒涛の巻き返しをあばす!」
「赤い三連星じゃ周回遅れのザコ」
「鬼ぃ。あ」
見てるだけじゃ可愛そうだ。
ゲームは見るのも楽しいけど、やっぱりやったほうが楽しい。
「●、」
俺たち4人の真ん中、きっくんとあろまの間にいる女の子の名を呼ぶ。
「はい?」
彼女は背を反らして、きっくんの背中越しに顔をのぞかせた。
「変わるよ。はい」
コントローラーを彼女に渡すと嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
両手で受け取ってお辞儀までしてくれた。
本当に礼儀正しくていい子だ。
「お礼なんかしなくていいんだぞ●」
「ビリが変わるって言ったのFBだし」
「次どのコースやる?」
「どこでもいいですよ」
…あれ、なんで俺、あの子の名前知ってるんだっけ。
ていうかあの子誰。