死神短編物語

□コンタクト
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そるは何の前触れもなく起こった―



―視界が霞む...



―ここはどこだい?



―どうしてこんな事に...




ある日の出来事―



(おや? この気配は伯爵と執事君だねぇ〜 ヒッヒッヒ…)



ガチャ



「いるか? アンダーテイカー」



「ヒッヒッヒ… いらっしゃ〜い 伯爵〜」



今日はどこから出てくるかと警戒していたシエルはドアのすぐ横に立てかけてある棺桶から出てきたアンダーテイカーにビクリとさせられる



「御無沙汰しております。葬儀屋さん」



礼儀正しくお辞儀をするセバスチャン



「アンダーテイカー、この前言っていた事件の情報は何か入ったか?」



「あぁ〜 とっておきの情報が入ったよ〜」



早速本題に入るシエルにアンダーテイカーは答える



「―何!?それは―「おーっと伯爵〜 それ以上は… わかってるよね〜?」



「なっ… この前散々やったじゃないか!!」



シエルは声を大きくして言うとアンダーテイカーは



「あぁ〜 あの時の伯爵は面白かったよ〜 4時間くらいかかってたけどねぇ〜 でもあれはあれこれはこれさぁ〜」



その時を思い出しているのかアンダーテイカーはニヤニヤしている



するとシエルは顔を赤くして―



「もういい!! セバスチャンやれ!!」



「御意」



シエルが店を出て行くと10秒後に盛大な笑い声が聞こえてきた



「ブギャハハハハ ヒーヒャヒャヒャ〜!!」



「毎回毎回どうしたらこうなるんだ?」



そういいながら店に再び入るとアンダーテイカーが笑い転げていた



「おい、早く聞かせろ」



「はぁ〜 ちょ〜と待ってておくれ〜 資料を持ってきてあげるよ〜」



笑い、フラフラしながらドアへと向かうアンダーテイカー



「おい、危ないぞ」



未だに笑い続けているアンダーテイカーはシエルの声に気づかずに足元にかる棺桶に躓き、立てかけてある棺桶にぶつかり、その棺桶が倒れてきて、下敷きになってしまった



ガタッ! ドンッ ズドーン!!



という盛大な音が聞こえ、シエルは目を瞑った



「…あ」



音の後にアンダーテイカーの間の抜けた声が聞こえた



「……… 大丈夫か!? というかどうした?」



棺桶の下から起き上がろうとしたアンダーテイカーがピタッと静止したので怪訝な顔でアンダーテイカーを見る



「…あ あぁ…」



シエルの呼びかけに返事をし、立ち上がるアンダーテイカー そしてドアのぶに手をかけようとするが、距離感覚がないように空気を掴むような動作をする



「…? どうした? 蚊でもいたか?」



「葬儀屋さん?」



シエルとセバスチャンはそんな葬儀屋を不思議に思う



そんな二人を尻目にアンダーテイカーは焦っていた



(コンタクト落とした…)



そう、アンダーテイカーは先程の衝撃でコンタクトを落としてしまったのだ



チラッと二人を見る



(この二人に助けを求めるのも気が引けるね〜)



「おい、アンダーテイカー!」



反応がないアンダーテイカーに痺れを切らせたシエルが声を上げる



「なんだい?」



「早く情報を寄越せと言ってるんだ!!」



「それなんだけどねぇ〜 伯爵〜 小生はこれから用事があったのをすっかり忘れててね〜 出直してくれないかい?」



「はぁ!? ならなぜ最初に言わない!!」



怒りMAXのシエル



「いや… それは…」



アンダーテイカーは口ごもる



しばらく黙って二人を見ていたセバスチャンが何かに気づいたようにクスリと笑った



(何かありますね…)



「坊ちゃん、ここは私にお任せを… 坊ちゃんは先に馬車に戻っていて下さい」



「…? まぁ お前がそう言うなら… 任せたぞセバスチャン」



「御意」



キィィィ バタン…



「さて… 葬儀屋さん? 何か隠していませんか?」



アンダーテイカーに詰め寄るセバスチャン







「…! なんの事だ〜い?」



アンダーテイカーは一瞬ビクリとしたが、すぐに平静を装った



するとセバスチャンは先程アンダーテイカーが棺桶に躓いたところまで行き、膝を曲げると床に指をつけ人差し指を見た



「おや? こんなところにコンタクトレンズが…」



「………! だ、誰のだろうね〜 こんなところに〜」



「あくまで白を切るおつもりですか?」



「何のことかさっぱ―――り!?」



言葉の途中で足が何かに引っ掛けられたと思ったら 視界が反転し、セバスチャンの顔が目の前にある



「ほうら… やっぱり見えてませんね?」



一瞬なにが起こったのかわからなかったが、セバスチャンに足を引っ掛けられ、近くの棺桶に押し倒されたようだ



「なっ なっ…!」



驚いているアンダーテイカーにセバスチャンは目の前の長い前髪をかぎ分ける



「あぁ… いつ見てもお美しいですね…」



うっとりするセバスチャン



「ちょっ 執事く―――ん!?」



口を塞がれた



ゆっくりと唇を離すとセバスチャンは



「こんな時でないと 貴方相手にここまで攻められませんからね…?」



悪魔笑いを浮かべるセバスチャン



「全く… 鋭いね君は」



「お褒め頂き光栄です」



肩をすくめるアンダーテイカーにセバスチャンはにっこりと言うとポケットに手を入れアンダーテイカーに差し出した



「どうぞ スペアのコンタクトです」



「…! いつのまに…」



「フフッ… 貴方の恋人たるものこれくらい用意してなくてどうします?」



→あとがき
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