葬儀屋夢物語

□心のありか
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「おやぁ? 百合の花が足りないねぇ…」

アンダーテイカーはその日、依頼が入っており、お客さんをキレイにしていた

最後の仕上げに買っておいた百合を棺に入れていたら途中で足りなくなってしまった

「困ったねぇ 近くに花屋があるし、ちょっくら行って来ようかね〜」

そう言うとアンダーテイカーは一度お客さんを地下の霊安室へ運び支度をして店を出た

「今日は風が強いね〜」

アンダーテイカーは帽子を押さえながら屋根から屋根へ跳んで街へ向かう





「♪♪〜 ♪〜」

アンダーテイカーが店を出て行った頃、ススカは昼ご飯を作っていた

ジュー カポッ

「よしっ あと30分経ったら出来上がり♪」

ススカは火を弱火にしてキッチンを出た

30分の時間があるので仕事部屋を覗いてみた

「アンダーテイカー?」

しーん

「あれ? 何処行ったんだろう?」

辺りを見回すがアンダーテイカーの姿は何処にもない

「出掛けたのかな?」

仕方ないのでススカは再びキッチンへ向かう

「あれ? バターがない…」

昼食の支度を進めようとして冷蔵庫を開けたススカ

「どうしよう ジャムもないし… トーストにバターが無いってのはさみしいかな?」

そう言うとススカは鍋の火を止めて出掛ける準備をする

「ま、アンダーテイカーも出掛けてるし、バターくらいすぐ買ってこれるよね」

ガチャ ガチャガチャ

「よしっ 戸締まりOK!」

ススカはスーパーへ向かった





「百合の花は置いてるかい?」

「えっ あ、百合ですね… 少々お待ち下さい」

アンダーテイカーが店員に訊ねると女性店員は一瞬アンダーテイカーを見てギョッとして奥へ入って行った

まぁアンダーテイカーの格好が格好なので仕方がないだろう

全身黒ずくめ
目元を隠した銀髪
不気味な笑い方

しばらくすると店員が帰って来た

「あ、すみません 今百合は切れてしまっていて…」

「そうかい、お邪魔したよ」

アンダーテイカーが店を出て行こうとしたら声がかけられる

「あのっ」

「なんだい?」

「うちの姉妹店なんですがそこなら百合があると思うので宜しければ場所をお教えしましょうか…?」

「それは助かるよ」

「では少々お待ち下さい」

店員はそう言うとメモを取り出し何か書き始めた

それをアンダーテイカーに渡す

渡されたアンダーテイカーは少し驚いた

「へ〜 こんな近くに花屋なんてあったんだね〜」

「昨日オープンしたばかりなんですよ」

「なるほどね〜(上ばかり跳んでるから気づかなかったよ…)」

アンダーテイカーは店を出た

「ありがとうございましたー」

「ふぅ 店までの帰り道で良かったよ そろそろススカが昼食を作ってる時間だからね〜♪」

そう言いながらアンダーテイカーは屋根の上を跳んでその花屋へ向かう





「えーっと バター…バター… あ、あった」

ススカはスーパーに来ていた
お目当ての物を見つけるとそれを買い物籠に入れる

「にしても店の近くにこんな商店街があるなんて知らなかった…」

ススカは街まで行かず、途中で商店街を見つけたのでそこで買い物をしていた

「最近この辺色んなお店が出来てるみたいね… 隣に建物が綺麗なお花屋さんもあったし」

そう一人で呟きながらレジへ向かう

「いらっしゃいませ〜」

ピッ ピッ

「ありがとうございましたー」



「さて、早めに帰ろ ――ん? あそこにいるのって…」

ススカの目線の先には三人の影があった―
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