グレル夢物語

□向かった先は…
1ページ/9ページ

―そこは地上や死神界より遥か彼方に存在する暗黒世界

―悪魔界―

「レイリス… いるか…」

地を這うような声が誰も居ない部屋に響く―

「はい」

少女の声が部屋に響いた

「遂に来たぞ… 見よ…」

そう少女に言うのは玉座のような椅子に座る大男
少女を大きな鏡へ手招きをする
そこには空間を移動中のグレル・ロナルドが写っていた

「こいつが…」

「あぁ お前が探し求めていた死神だ…」

「こいつが… こいつが…」

呟く少女の瞳には怒りが見えた

「行って来い… 復讐の時は来た…!!」

男が言うと少女は姿を闇の中へと消した

「クックックッ…」

男の笑い声が部屋に響いた



「チョット!! まだどの店も開店してないじゃない!!」

「ちょっと先輩〜 俺もう腹減って死にそうっスよ〜」

ロナルドは横を歩くグレルに言う

「アタシだってペコペコヨ! …あ! あそこに行きましょ!」

何か閃いたのかグレルの声のトーンが上がった

「あそこって何処っスか〜」

「いいから付いてらっしゃい」


たどり着いたのは“Under Taker”と書かれた店の前

「『アンダーテイカー』って先輩、何で葬儀屋なんかに? って先輩!?」

言い終わる前にグレルは店に入って行った

「まだ起きてないのかしら…」

辺りを見渡し言うと奥に入って行った

「先輩〜 なんなんスか此処?」

「葬儀屋さんヨ?」

当たり前のように言うグレルは一つの扉の前に立つ

「いや、それは見ればわかります俺が聞きたいのは―」

トントン―

ロナルドの質問を軽く無視して扉をノックする

すると―

「ヒッヒッヒ… どうぞ〜?」

返事を確認してから入るグレル

「お邪魔するワ」

「お、お邪魔しまっス」

入った部屋に居たのは前髪と腰まで長い銀髪を伸ばした全身黒ずくめの長身の男でこの店の主人アンダーテイカーである

「ヒッヒッヒ… 死神の気配がすると思ったら君だったのかい」

「『死神』って!! ちょっと誰なんスかこの人間は!」

コソッとグレルに聞くロナルド

「そんなに騒がなくてもちゃんと紹介するワヨ」

「この人― じゃなかった この死神はアンダーテイカー 伝説の死神ヨ」

さらっと説明するグレル

「し、死神〜!? てゆーか伝説の!? 伝説ってあの伝説の死神ですよね!?」

二つの事実に度肝を抜かれるロナルド

「おやおや なかなかいい反応をしてくれるね〜」

リアクションのいいロナルドをアンダーテイカーは楽しそうに言う

「そんな伝説の死神が何でサトクリフ先輩なんかと知り合いなんスか!?」

「チョット!!『なんか』ってなによ!!『なんか』って!!」

「ブッ…」

「「?」」

「ブッビャヒャヒャ!! ヒ〜ギャッハッハッハッ!!」

いきなりアンダーテイカーがお腹を抱えて笑い出した

「あ〜 何となく分かった気がします」

ロナルドはアンダーテイカーとグレルを交互に見ると言う

「〜!! いつまで笑ってんのヨ!」

グレルはアンダーテイカーを蹴飛ばす

「いたっ」

「ちょっと先輩!」

いくら何でも伝説の死神を蹴飛ばす先輩に焦る

「…で 何の用だい」

蹴飛ばされた事を毛ほども気にしないように聞くアンダーテイカー

「ご飯をご馳走に」

「え?」

「先輩! そんな事の為に此処に来たんスか!?」

「そうよ?」

また当然のように言うグレルに

「ギャーハッハッハ!そんな…事のヒヒッ…為にブギャハハハハハ!!此処まで…ギャッハッハッハッ…ハァ〜 小生は理想郷を見たよ〜」

涎を垂らしながら言うアンダーテイカー

「チョット…アンダーテイカー?」

「“笑い”を貰ったお礼にご馳走してあげるよ〜 さぁこっちにおいで〜」

そう言うとアンダーテイカーは居間に向かった



「さぁ お食べ〜」

テーブルにトースト・スープ・サラダといった簡単なものが置かれた

「意外と普通なもの食べてるのネ」

「…君は小生が普段何を食べていると思っていたんだい?」

「何かこう…ドロドロした―」

素直に答えようとしたグレルだったがアンダーテイカーの顔を見て口を噤んだ

「イ〜ヒッヒッヒッ!!」

「こ、このスープ美味しいワネ!ネ!ロナルド!!」

「え?あ、はい」

アンダーテイカーの顔に気付かなかったロナルドはハテナ顔で言う

「…で 君達がこっち(下界)に来たのは仕事かい?」

「えぇ 実は…」

グレルは仕事内容を説明した


「なるほどね〜」

「先輩、そろそろ時間じゃないスか?」

「アラ 本当だワ じゃお邪魔したワネ」

そう言うとグレルは窓から出て行った

「お邪魔しましたー」

「やれやれ… 忙しい子達だねぇ〜」

二人が出て行った窓を見てアンダーテイカーは一人呟いた…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ