中編夢物語

□meet again sisters
1ページ/8ページ


『―――
―――……
私の――――』






パチッ



「…………」



ミカは屋上で目を覚ました上体をむくりと起きあげると声がかけられる



「どーしたの? 魘されてたけど」



「…グレル先輩」



昼過ぎ、いつものように屋上で昼寝をしていた



「…ミー、何か言ってましたー?」



その問いにグレルは息を吐くような感じで答える



「さっきだけじゃないけど、あんた…
よく魘されてるときに同じ言葉言ってるワ」



「同じ…言葉、ですかー?」



「えぇ、はっきり聞き取れないんだけど… お―――」



その時、屋上の扉が開かれた



「グレル先輩…」



「あ、来たワネ」



「ヤミ?」



ミカは現れた死神に眉をひそめた



「あ、ミカ 説明してなかったワネ、回収課の死神不足で管理課から増員が来たのヨ」



「…何でミー達のところに? 二人で一回の魂の回収は充分じゃないですかー?」



「それが明後日大量の魂の回収があるのヨ
それでヤミも身体動かしておいた方が良いし
今日から明後日まで一緒に回収することになったのヨ」



「へー…」



「ふふ… 宜しくね、ミカ…」



バチバチッ



「アラ? 雷雲でもあるのかしら?」



グレルは天を仰ぐ










「とりあえず、あんた達だけで回収して来て、アタシは悪魔が出たら行くワ」



「了解ですー」



「分かりました…」



二人は地面を蹴る



リストの人間を見つけ、二人がデスサイズを取り出す



カチャ…
ブシュッ



「………?」



ヤミがデスサイズを振る姿を見てミカは首を傾げた



「………っ」



それと同時に頭に痛みが走る



「…どうしたの、ミカ?」



「な、何でもないですよー」



ミカもデスサイズを振るった








「アラ、早かったワネ、問題なかった?」



「ばっちりですー」



「久しぶりに動いた…」



「んじゃ、帰りましょうか」



「はいー」










−夜−



ミカは死神女子寮に戻ると風呂に入り、仰向けにベッドに身体を埋める



「何だったんだろ… さっきの感覚…」



ミカはボソッと呟くと瞼を閉じる










『はぁっ はぁ…』



闇の中、二人の影が存在した



『―――ちゃん?』



『大丈夫、私からっ、離れないで―』



彼女は後ろに着いて走って来る少女に言った
しかし付いて走っている少女が転倒してしまう



ギャアァァァ!!



魔物の叫び声が響き渡る



『きゃぁぁぁ!?』



少女の悲鳴が上がるともう一人の少女は彼女の元へと走った



『―――!!』



ザシュッ!!



『……ちゃん?』



彼女の前に魔物に背中を向け庇うように両手を横に上げた少女が映る



『お姉ちゃん!?』








「―――!!」



翌日、ミカはベッドから飛び起きた
荒く乱れた息を整える



「はぁ…はぁはぁ…

お姉…ちゃん?」



ミカは呆然と呟いた










「ミカ、遅かったワネ」



「もっと遅くても良かったのに…」



先にグレルとヤミが一緒にいた



「すみませーん 何か変な夢みてしまって…」



「変な夢?」



「ミカってまともな夢みるの…?」



「ヤミに言われたくないですー」



「じゃあ、揃ったし行きましょうか」



「はいー」



「あ、グレル先輩… 私管理課に忘れ物したので取りに行って来ます…」



「そうなの? じゃあ此処で待ってるワ」



「すみません…」



ヤミは管理課へ向かう



「…………」



「そー言えば屋上で言いそびれたことなんだけど」



「何ですかー?」



「あんた、魘されてる時に『お姉ちゃん』って言ってるワ」



「――! お姉ちゃん…ですか…?」



「あんた、お姉ちゃんがいたんじゃない?」



「分かりませんー ミーは昔の事綺麗サッパリ忘れたのでー …でも」



「でも?」



「今日、夢で多分昔の頃のミーをみたんですよ…
それで…昔のミー、『お姉ちゃん』って言ってましたー」



「嘘!?」



「本当ですー」



「他には?」



「害獣に襲われてて……ミーを庇っ―」



「お待たせしました…」



ヤミが戻って来ると二人はヤミに顔を向けた



「早かったワネ」



「何取りに行ってたんですかー」



「心の痛め止めを取りに…」



「…あぁ、そう じゃあ行くワヨ」



グレルが若干引き気味に言う



「はい…」




下界に降りた三人



ザクッ シュルルルル…



「明日が本番ネ」



「今日も明日並みに忙しいですー」



「本当に…」



ザクッ シュルルルル…



ヤミもデスサイズにシネマティックレコードを収めると息を吐く



「ヤミ、あんた調子戻った?」



「大丈夫ですよ… 確かに実戦から離れてましたけどミカより実力は上なので…」



「適当ーな事言わないでくれませーん?」



「事実だし…」



「どこにそんな根拠があるんですかー」



「ほらほらあんた達、喧嘩しない」



グレルは手をパンパンと叩いて二人の喧嘩を制す



「「…………」」



「もう終わりネ、帰りましょうか」



「あ、私買い物があるので…」



「そう、何買うの?」



「ハーブの茶葉を…」



「へー あんたハーブティー飲むのネ」



「良くあんな物飲めますねー」



「昔から心を落ち着かせるのにね… ふふ…」



「そ、そう…」



「じゃあグレル先輩ー 先に帰りましょー?」



「そうネ、じゃあねヤミ、明日は頼むワネ」



「はい…」









「「…………」」



「もう終わりネ、帰りましょうか」



「あ、私買い物があるので…」



「そう、何買うの?」



「ハーブの茶葉を…」



「へー あんたハーブティー飲むのネ」



「良くあんな物飲めますねー」



「昔から心を落ち着かせるのにね… ふふ…」



「そ、そう…」



「じゃあグレル先輩ー 先に帰りましょー?」



「そうネ、じゃあねヤミ、明日は頼むワネ」



「はい…」





−夜−



コポコポコポ…



死神女子寮の一室でヤミはハーブティーの入ったカップを傾けていた



「…………」



カップの表面に映った自分の顔を見ると指の力が抜け
カシャン、とカップが床に落ち、中のハーブティーが零れる



「…………」



ヤミは片付けることなくそのままベッドに倒れ込んだ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ