別世界夢物語

□犬の名前
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「いや、どーしたら良かったんだよ!?」



ダンッ と恋次は酒瓶を机に叩きつけた



此処は酒場
仕事が終わると恋次は檜佐木修兵を誘って呑みに来ていた



「さぁな…」



修兵は今までの話しを聞いて微妙な顔で酒を口に含んだ



「俺昔っから十ニ番隊連中は苦手なんスよ」



「まぁ、得意な奴はいないと思うがな…」



「檜佐木さんもスか?」



「あぁ」



「…………」



「…………」



「あ!」



恋次は思い出したように声を上げた



「どうした」



「話しガラッと変わりますけど、俺犬飼おうと思ってるんスよ!」



「…本当にガラッと変わるな」



「一護の家の前に捨て犬を置いてかれたって言ってて、昨日現世に行って見に行ったらもうこれがすげぇ愛くるしいんスよ!」



「お前犬派か」



「分かります?」



「分からない奴は居ないだろうよ」



恋次のテンションの上がりように檜佐木は軽く引く



「で、名前をどうしようかと思ってるんスよ! 俺ネーミングセンスなくて」



「飼うことは確定なんだな」



「俺が考えたのはラッキー、ケン、蛇の目…」



「…そのネーミングはないと思うぞ」



残念なネーミングセンスに檜佐木は止めとけ、と言う



「じゃあ檜佐木さんなら何て付けます?」



「うーん、そうだな…」



修兵は考える素振りをすると あ! と人差し指を立てて提案する



「俺だったら、って訳じゃねーが、こんなんどーだ?」



「勿体ぶらずに教えて下さいよ」



期待大で恋次は聞く
後悔の念は直ぐそこまで来ていた



「“マユリ”ってのはどうだ?」



「オエェェェ…!!」



飲んだ酒を吐瀉する



「大丈夫か?」



「死んでも止めて下さい…」



青い顔をしながら恋次は呻く



「じゃあ…“魔百合”ってのはどうだ?」



「書き方変えただけじゃないっスか!!
読み方を変えて下さいよ!」



「苦手意識が無くなるかも知れんぞ?
“マユリ”か“魔百合”にしておけ」



「ちょ、本当に止めて下さい!
涅面犬想像しちまったじゃねーですか!!」



「キツいな… うっ!」



修兵も口を抑える



「やっぱラッキーで良いスかね」



「あぁ、ラッキーにしておけ」





 
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