中編夢物語

□meet again sisters
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「さーて、行くワヨ 野郎共!」



「野郎じゃないです…」



「先輩生き生きしてますねー」



「悪魔はアタシが狩るから、あんた達はレコードの回収を頼むワネ」



「えー」



「えー じゃない、ヤミ、ミカのこと頼んだワヨ」



「仕方ないですね…」



「…何でミーのことヤミに頼むんですかー?」



「え? いえ… 何か、何となく?」



ギャアァァァ!!



「―! グレル先輩、後――」



ギュララララ… ブシャ!



グレルはミカ達の方を向きながら後ろの魔物にデスサイズを突き刺した



「じゃ、大変だと思うけど頼んだワヨ」



「「了解ですー」」



三人は二手に分かれる






タンッ



ザクッ シュルルルル…



「はー… 狩っても、狩っても…」



「終わらない…」



ミカとヤミはデスサイズをリストの人間に刺し、レコードを確認する



「しかも…」



ズズズ… とミカの背後に魔物が現れる
ヤミはデスサイズを引き抜き、魔物に刃を突き刺した



ザクッ



「――!?」



ミカは驚いて後ろを振り返る



「世話が焼けるね…」



「う、うるさいですー」



ミカもデスサイズを引き抜き、ゾロゾロと現れる魔物を見る



「狩るよ、ミカ…」



「言われなくてもー」



二人は改めてデスサイズを構え、地面を蹴る



ザクッ



ギャアア…!!



「グレル先輩はっ、何してるんですかー!」



「あっちはもっと凄いことになってるんじゃない…?」



「…………」



「ミカ、そっち」



「え? ――うわ!」



地面から現れる魔物にデスサイズを突き刺す



ブスッ



「…………」



「…ヤミって、技術評価いくつですかー?」



「A」



「何で管理課に居るんですかー?」



「…………」



ヤミの表情が見えない



その時



「チョット、あんた達!」



「…? グレル先輩?」



グレルがこちらへ跳んで来た



「終わった?」



タンッ



「まだ害獣が出てきますー」



「此処、悪魔良く出るからネ 手っ取り早く三人で狩っちゃいましょ」



そう言っている間にもぞろぞろと出てくる



「行くワヨ!」



「はい」



三人は背中合わせの状態から地面を蹴った






ザクッ ブシャ…



「はー 疲れたー」



ザクッ!



「多い…」



ザクッ…!



「―――!」



突然ミカは頭にデジャヴのようなものを感じた



―――何?



その視線はヤミにある



「―――っ!」



ミカは頭を抑えてしゃがみ込んだ
記憶を失った時の傷が疼く



痛った… 何ですか…?



ザザッ ザザッ



知らない記憶が頭に蘇る



そこは真っ暗で二人の足音が響いている



「………うっ!」



ズキズキと襲いかかる痛みにミカはデスサイズを手放した



カランッ



「――ミカ!?」



グレルの声が聞こえた



目を開けると自分の影に魔物の影が重なっていた
魔物の鋭い刃が高らかに振り翳された
避けようと膝を伸ばそうとしたが、再び頭に激痛が走る



「―――いっ!!」



魔物が刃をミカに振り下ろす



「ミ…「ミカーー!!!」



ザクッ!!



「――え?」



ミカはその光景に目を開いて驚いた
魔物と自分の間に割って入り、自分を庇ったのは――



ドサッ



「ヤミ!!?」



膝を着き、倒れてきたのは魔物の刃が背中に突き刺さったヤミだった
ミカはヤミの方に身体を向けるとグレルのチェーンソーが魔物を真っ二つにする



ギュララララッ ザシュッ!!



ギャアァァァ!!



魔物が消滅するとグレルがヤミにしゃがみ込む



「チョット、ヤミ!?」



グレルがヤミの身体を揺らすとヤミはうっすら目を開ける



「…カ…」



「何!?」



か細い声にグレルが聞き返すとヤミは苦しげな声で聞く



「…ミ…カは?」



「無事ヨ、あんた何で―」



「ヤミ!? 何でミーなんか庇ったんですか!?」



ミカの声を聞くとヤミはミカの顔を見て心底安心したように



「良かっ…た…」



そう言い残して目を閉じた



「ヤミ!?」



ミカが叫ぶとグレルはヤミの異常な汗に気付いた



「まさか…!!」



グレルは呟くとヤミの背中の衣服に手をかける



ビリッ!!



「ちょ、グレル先輩!?」



何をしているのか、と言う意味で聞くとグレルは早口で焦ったように言う



「さっきの悪魔、どこかで見たことあったんだけど、昔戦ったことがあるのヨ!
それで思い出したんだけど、強力な毒を持ってるワ!!
それだけじゃない、その悪魔の刃に刺されたところは止血が難しくなるの!
だから早く止血しないと――
死ぬワ」



「―――!!」



ビリッ



最後の衣服を破るとグレルはヤミの背中を見て目を開いた



「…何…これ?」



「何です…―――!!!」



ミカもヤミの背中を見た
そこには先程受けた傷とは違う、肩から腰にかけて斜めに痛々しく残っている
古傷があった



ミカはぽつりと呟く





「お… 姉…ちゃん?」





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