別世界夢物語

□クルルとサブロー
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放課後、学校に響くチャイムをサブローは近くの公園で聞いていた




「いっ…」




腕に染み渡る痛みにクルルは顔を歪めた




「あ、動かないでよ
酷い火傷してるんだから」




「ケッ、俺としたことが、ペットに捕食されそうになるとはな… ククククッ…」




怪しげに笑うクルルにサブローは付け足す




「そんでもって、地球人に助けられるなんてな、ってやつ?」




「ククッ 分かってんじゃねーか」




また小さく笑い声を漏らすクルル




サブローは濡らしたハンカチをクルルの腕に当てながら訪ねる




「ねぇ、君ってさ
やっぱり宇宙人?」




「君じゃねぇって言ってんだろ?」




クルルは質問に答えず訂正を求める




「そーだった、ね、クルル クルルはこの地球に何をしに来たの?」




「ん〜〜? 教えて欲しいかぁ〜?」




もったいぶらせるクルル




「もしかして地球侵略?」




軽い冗談で言ってみるとクルルは親指を突き出し…




「モチコース!」




と高い声で言った




「あはは… 本当にそうなんだ」




薄笑いを浮かべるサブロー




「だがなぁ…」




とクルルは再び低い声で言う




「何?」




「訳あって、俺達小隊はこの星、地球に来る時にバラバラになっちまってなぁ」




「え? 他にも仲間がこの地球に来てるの?」




「俺様を含めて五人な」




「五人も…」




サブローは少し驚いた顔をする




「ま、どーってことないがな、隊長はどうせ――」




「じゃあ一緒に探そうよ!
散り散りになったクルルの仲間を♪」




クルルの言葉を遮ってそんな提案をするサブロー




「あぁ?」




眉を寄せるクルル




「だって楽しそうじゃん
それにクルルも会いたいでしょ?」




「そりゃいずれは合流しなきゃならねーが…」




「よし決まりっ!
学校よりも楽しそうだし、これから宜しく、クルル」




手を差し出すサブロー




「ククッ 変わった奴だな、地球人」




「俺も“地球人”じゃないんだけど?」




「ククッ… ククククク…」




「プッ、はははは!」




暫くの間小さな公園に笑い声が途絶えなかった...

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