葬儀屋夢物語

□ススカの過去
『暴かれる真実』
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ススカがバイトをしていることがアンダーテイカーに知れてから数日が経ったある朝

「おはよう アンダーテイカー」

「ヒッヒッヒ… おはようススカ、今日は休みかい?」

「うん…」

あれからアンダーテイカーはススカが行っているバイトの事を何も聞いてこなかった
ススカは内緒でバイトをしていたことにアンダーテイカーが怒っているのではないかと思い、ずっと訳を話したかったが、なかなか切り出せないでいた
なので今日という今日はアンダーテイカーに訳を話したかった

「ねぇ、アンダーテイカー」

「何だい?」

「あの…」

「ん?」

「…怒ってる? バイトの事」

「怒る? どうして小生が怒るんだい? ススカは自分のしたいことをすれば良いんだよ?」

アンダーテイカーはいつもの調子で言う

「でも…」

「どうしたんだい?」

「私、見つかった時にアンダーテイカーが怒ってるように感じて… その… 何も聞いてこないから…」

「別に小生は怒っていないよ? 寧ろ嬉しいさ」

「…え?」

「ススカがやりたいことを見つけられて… あそこのバイト、楽しいんだろ?」

「そりゃ… 楽しいけど でもっ… 私が言いたいのは…!」

「良いんだよススカ、あぁ もう店を開けないとねぇ ススカ、無理はしなくていいからね?」

アンダーテイカーはそう言い残して仕事部屋へ向かった

「…アンダーテイカー」





「何で…何であんな言い方しか出来ないんだい小生は! あの場所はススカの望んだところじゃないか」

アンダーテイカーは自分に言い聞かせるように呟く

「はぁ… 何か…」





「寂しいよ… アンダーテイカー…」

ススカは誰も居ないキッチンで呟いた





「おや…」

「どうしたのアンダーテイカー?」

昼下がり、気まずい空気の中でアンダーテイカーが口を開いた

「この気配は… ヒッヒッヒ…」

アンダーテイカーが笑いながらドアの方を見るとその扉が開いた

「いる………かぁ!?」

「ヒッヒッヒ… ようこそ伯爵、やっと… ってどうしたんだい?」

「珍しいな、お前がまともに出迎えるなんて 変な物でも食べたのか?」

「ヒッヒ… 失礼だね〜 小生は平常運転だよぉ?」

頬杖をつきながら言うアンダーテイカー

「そのようだな 今日は…」

「最近ここ近辺で起こっている大量出血死の事件かい?」

「流石だな…」

「ヒッヒ… じゃあ伯爵? 小生に極上の笑いをおくれ〜?」

「仕方ない、セバスチャン」

「御意」

例によってシエルとススカは外に出る





数秒後…

「ブギャーハッハッハ!!」

ガタァン!

アンダーテイカーの爆笑で看板が落ちてきた

「毎回毎回一体何を… ってススカどうした?」

「えっ? 何が?」

「元気がないように見えるが」

「そう? 何でもない…」

「…そうか、ならいいが」

二人は再び店の中へ入った

「はぁ〜… 小生は理想郷を見たよ〜」

「ふぅ、今回は少々骨が折れました」

「何言ってる、涼しい顔しやがって」

「いいえ、葬儀屋さんのツボに入れるのに0、9秒いつもより遅くなりました」

「あぁ、そうか」

シエルは軽く流して棺桶に座った

「ヒッヒ… あの事件だったね〜」

「あぁ、数ヶ月前から事件数が多くなってきている 僕が知っている情報はそいつらは殺しのプロだ」

込み入った話になりそうだったのでススカは部屋から出ようと足を動かした

「ふ〜ん 確証があるみたいだね〜」

「あぁ、ヤードから聞いたことに引っかかるものを感じた そいつらはわざと出血が多い動脈を撃っている」

「さっきから気になっていたけど“そいつら”ってことは…」

「あぁ、おそらく殺しの組織だ」

―ピタッ

ススカの足が扉の前で止まった

「…………!!」

「そこまで知っていて小生に何の情報が欲しいんだい?」

「勿論、その殺された者達の所在や名前を知りたい 資料は残っているか?」

「あぁ、ちょいと待ってておくれ〜?」

アンダーテイカーは奥の部屋へ行く為にススカが立っている扉の方へ歩いて行った

「ススカ?」

扉の前で立ち尽くしているススカはアンダーテイカーに気付くと振り返った

「あ、ご ごめん」

その顔は青ざめ、何かに怯えているような顔だった

「…………」

アンダーテイカーは気になったが、とりあえず扉を開いて奥の部屋へ向かった





「お待たせ〜 小生がキレイにしてあげたのはここに載っているだけだよ〜」

アンダーテイカーは資料をシエルに手渡した
それを捲るシエル

「確かに、邪魔したなアンダーテイカー」

「ヒッヒ… またいつでもおいで〜?」

―パタン

二人きりになった空間に沈黙が降りた

「…ススカ」

ビク!

「な、何?」
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