エリアラ-2

□【星の瞬く聖なる夜へ】
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【12月15日】


もうすぐクリスマス。

12月になると、毎年決まってアランがソワソワしだすんだ。

付き合うようになってもう何年経つのか分からない。でも、アランは毎年変わらず楽しみにしてるようだ。

俺はイベント事にあまり関心が無いから気にしてはなかったが、そんなアランを見ていてふと思い付いた。

プレゼントを用意するのは毎年の事だ。
アランと一緒に出掛けて、お互いに気に入ったものをプレゼントする。

味気無いと言われてしまえばそれまでだが、それが俺達のクリスマスだった。

だから今年は少し趣向を凝らす事にしたんだ。

アランは毎年12月になるとリビングにアドヴェントカレンダーを置く。

1日ずつ扉を開けていってクリスマスまでカウントダウンしていく訳なんだが……

今年はアランが変わったのを見付けたと言って、日付事に小さな引き出しの付いたカレンダーを買っていた。

小さな箱には一粒ずつのチョコレート。

様々なフレーバーが聖なる夜への時の流れを刻んでいた。昨日までは。

俺はアランが寝静まったあとそっとベッドを抜け出し、そこに小さなメモを寄り添わせた。

突然の思い付きだったから大したことが出来ないのは承知している。

でも、サプライズとはいかないまでもアランの少しでも喜ぶ顔が見られれば…と、そう思ったんだ。

クリスマスまであと10日。

この日俺が記したのは……

『Please』ただそれだけ。

小さな紙に記した1つの単語。

俺にとってアランは掛け替えのない存在なんだ。
気障だと言われようがなんだっていい。

アランは俺の光なんだ。

だから俺は綴る。

小さな箱はあと9つ。

察しのいいアランのことだ、直ぐに残りの引き出しにもメモがあると気付くだろう。

でも、それでいいんだ。
これが俺の素直な気持ちだから…。

寝室に戻ると、俺が抜け出したことに気付かないまま静かにアランは寝息をたてていた。

どうしてこうも愛しく想うのだろう…か。

一頻り寝顔を堪能した後、俺はアランの白磁のような頬に1度だけ口付けをして心地好い睡魔に身を任せた。
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