エリアラ-2

□【君が欲しくて】
1ページ/4ページ


「どうしたんだ、俺…。なんか…身体が熱って…。」


【君が欲しくて】


今日は残業だった。
終業間際、急所持ち込まれた案件は俺に廻ってきた。
普段、エリックの根回しのせいで滅多に現場に出ることも無く回収課で報告書を作っている俺しか残っていなかったってのもあるかも知れない。
そんなに複雑なモノでもなかったから、一人でこなした訳なんだが…。

「ただいま、エリック。」

俺は熱いモノが蠢く身体を引きずって彼の待つアパートへと帰宅した。

「おう、お帰り。遅かったじゃないか。」

今日、エリックは非番だった。
元々年中無休の死神業だ、休みが被る方が珍しい。
だからこんな日はいつも疲れきった身体を彼に委ねたくなるんだが、今日は今までよりそんな気持ちが強い…気がした。

「アラン、どうした?顔が赤いぞ。調子悪いのか?」

「んー、悪く…はないと思うんだけど。なんか、暑くて。」

顔を合わせるなり、エリックが心配した声色で俺の額に手を当てた。

「熱はねぇな。なんか変わったもんでも食ったか?」

軽い冗談を織り交ぜて気分を紛らそうとしてくれるのは有り難いが、今日の俺には一つだけ心当たりがあった。

「秘書課の女の子がお疲れ様って渡してくれた栄養ドリンク飲んだくらいだよ。」

「十中八九、それだな。ちゃんと封はしてあったか?」

「開けてから手渡してくれたからそんなのわかんないよ。ねぇ、エリック、なんとかして。」

最早記憶は曖昧なものだった。
それよりも俺はこの熱を何とかしたくてすがる思いでエリックの腕に飛び込んだ。

シャツが脱がされ、シャワールームに抱かれて行ったのは覚えている。
だが、その時エリックが放った言葉は、虚覚えだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ