♪色んな記念夢♪

□5周年記念 その2
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いたたた、何なのよ。

おいしいケーキ食べてるのに、ほっぺたが痛い。

もしかして虫歯?

まさか。毎日歯磨きしてるのに。



「………よ、」

『い、いひゃい〜〜……』

「…ねぇ、朝だよ。」

『うぎゅむ〜〜………痛いってば!!』


あまりの痛みに耐えかねて目を開けると、さらっとした黒髪が目に入った。

あ、あれ?あたしのケーキは…


「まだ寝ぼけてるの?」

『恭弥……おはよ……ふぎゅうっ』

「僕と一緒に寝てたのに僕の夢見ないなんて、どういうこと?」

『く、苦ひ〜よぉ…』



何故か突然抱きしめられて、視界が真っ暗になる。

ってゆーか……うわ、近い!

すっごくドキドキする…!


『あの、もしもし恭弥さん…?』

「僕の夢見なかった罰として、しばらくこのまま。」

『…お腹すきました、朝ごはん食べたいです。』

「ダメ。」



な、何であたし朝からこんなイジメ受けてるの!?

えっ、恭弥ってば夢の話してる?


そう言えばあのケーキおいしかったなぁ…

生クリームたっぷりなイチゴの…


「…また僕以外のこと考えてる。」

『ちょ、ちょっと…!苦しいってば!!』

「このくらいで?」

『あのねぇ!恭弥、細いクセに力強いの!そんなに強く抱きしめられたら……つ、潰れちゃうでしょ!』



心臓もたないでしょ、と素直に言えなくて、思わず下手な言い訳をした。

そしたら恭弥は意地悪く笑って、あたしの顎をくいっと上げさせる。

見慣れたその笑みに若干の危機感が走る。


「じゃあ、もっと苦しくしてあげようか。」

『え?』


次の瞬間、唇が重なってあたしの心拍数は一気に上昇した。


角度を変えて、何度も何度も重ね直す。

重ね直すたびに、深くなる。



『んぅー…』


息…苦しいっ……

恭弥のバカバカ、何でいきなりこんな風にちゅーすんのよっ…


自分の吐息が熱を増していくのが分かって、余計に恥ずかしくなる。

あー…もう、本当に苦しいってば……

訴えるように恭弥の服をぎゅうっと握って、唇を離してもらう。



「顔、真っ赤だよ。」

『あ…当たり前でしょっ。』


恭弥は、不思議と満足そうな表情になっていた。

そんな表情を見てると、何だかあたしも幸せな気持ちになって来る。



『ねぇ恭弥、お腹すいた。朝ごはん食べようよ。』

「…誰のせいでこんな時間になったと思ってるんだか。」

『そ、それは言わないでよーっ。』


クスリと笑った恭弥は先に起き上がって、あたしの腕を引いて起こしてくれた。

引っ張られたその勢いのまま、恭弥に抱きつくあたし。



『何食べようかなー♪甘いあまーいホットケーキがいいなー♪』

「朝から?」

『朝だから♪』


イヒヒと笑ってみたけれど、恭弥はやっぱり朝は和食がお好きなようで。


「………哲、焼き魚2つね。」

「へい。」



ドアの向こうの草壁さんにそう注文してしまった。

いつから彼はスタンバイしてたんだろう…

ちょっと疑問に思ったけど置いといて、口を尖らせて訴える。



『恭弥の意地悪。』

「昼に食べればいいでしょ。」

『甘いのが食べたい気分なのに……』

「ふぅん……だったら、」



…嫌な予感がしたのは、きっと気のせいじゃない。

本日二度目の甘いキスが、これでもかというほど降って来た。




』×『意地悪な雲雀
(こうして再び、とろけてしまう)



fin.

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