♪色んな記念夢♪

□5周年記念 その1
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まったく雲雀さんったら人使いが荒いんだから。

お洗濯物干してたのに、急に脅しみたいに呼び出すなんて。

おかげで階段をいくつも駆け降りる羽目になってる。


『ってゆーか、何でいつもいつもあたしばっかり………きゃっ!』

「おっと!」



曲がり角で誰かとぶつかり後ろに転びそうになったけど、腕を掴まれて引き寄せられた。


「わりーわりー、急いでたもんでな。」

『山本さん…すみません、私の不注意で……ありがとうございますっ!』

「いーって、お前も急いでたのか?」

『あっ…!!そ、そうでした!失礼します!!』

「おぅ、じゃーな。」


山本さんは優しくて本当に良い人だなぁ。

ああいう人が旦那さんだったら、あったかくてほのぼのした家庭を築けるんだろうな…と毎度思う。



『失礼しますっ…!』

「…遅いよ、2分以内ってメールしたのに。」

『む、無理です……ベランダは5階ですよ!?それに…雲雀さんのお部屋、1階の一番奥ですし…』

「ふぅん、僕に口答え?随分偉くなったんだね。」

『ひえっ…す、すみません!!』


う〜〜…雲雀さんてば、いっつもいっつもあたしを下僕のように扱うんだからっ。

確かにあたしはボンゴレに雇われた雑用係ですが!

一応人権だってあるんですからねっ。

と、こんな風に毎度心の中で反論している。



『それで…どのようなご用件ですか?』

「コーヒー、新しいの入れてもらおうと思って。」

『そ、それだけですか!?』

「それだけって何。」

『い、いえ!何でもございません!すぐお持ちいたします!』


雲雀さんの眼力が恐ろしくて慌てて部屋を出る。

キッチンまでとぼとぼ歩きながら思った。

あたし、何か雲雀さんに悪いことしたのかなぁ…

知らないうちに大事なもの壊しちゃったとか、
大事なお洋服汚してたとか、ボタン取れちゃったとか…

でも一応使用人の身だし、そういう気配りはできるように心がけてるんだけどなぁ…。



『コーヒーお持ちしましt……』

「ニガイ!ニオイ!」

『へっ…?』


なんか、喋る目覚まし時計のような甲高い声がして、ドアを開けた状態で室内を見る。

と、あたしに向かって真っ直ぐ飛んでくる黄色い物体。



「ヒバリノ!コーヒー!ハヤク!」

『あっ…!』


こ、こいつはいつもの黄色いトリ!!

突進してくるのを避けるため、身を引こうとした。

ただその瞬間、あたしはコーヒーを持っていることを忘れていて。



ガッシャーン!

『きゃあっ…!』


カップをお盆ごと落としてしまったあたしは、ビックリして自分もずっこけた。

あーあ情けない…ってか、ホントビックリしたぁ…



「…何してるの、ドジ。」

『ひ、雲雀さん…』


そうだよね、怒ってるよね。

カーペット汚しちゃたもん……コーヒーも淹れなおしだし…



「君、何年ここに勤めてるの。」

『3年目、です…』

「まったく……早く慣れなよ、この鳥にも、僕にも。」

『す、すみません…』



謝ってから、疑問に思った。

今、「僕にも」って…?


もしや、俺様な雲雀さんに命令され続けぺこぺこするこの状態に慣れろ、と…!?

嫌だ!そんなの絶対に嫌だ!!



「そうじゃなくて、」

『え?』


今、口に出さなかったのにどうして…


「君の心の内は、表情見ればすぐわかるよ。」

『なっ…!』

「怪我、ない?カップ割れてるけど。」

『ななな…!えぇ!?』

「なさそうだね。まったく、そそっかしい。早く僕のモノになればいいんだよ。」



ジェットコースターのような展開に、あたしの脳みそは全くついていけなかった。

ひ、雲雀さんが…あたしのこと……心配した!?

っていうか今…“僕のモノ”ですと!?



「決めた。君は今から僕のモノ。」

『な、何言ってるんですか雲雀さ……!』

「危なっかしいから、ずっと僕の傍にいること。そうすれば…」



“一番近くで君を助けられるから”


そう言った雲雀さんは、スッと立ち上がって「コーヒーのおかわり淹れなおし。あとカーペット綺麗にしてね」といつものご主人さま発言をしながら愉しそうに笑った。




プロポーズ』×『俺様な雲雀
(これって…真に受けていいんですか?)



fin.
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