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□・隙間と貴方
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私はめげなかった。
それからというもの、貴方の出る試合は必ず見に行った。
貴方が出ない試合なんて、ほぼ無いに等しかったから、つまり私は、貴方の高校のサッカーの試合は殆ど見て来た。
貴方に宛てて、手紙を書いたりもした。
結局渡せなかったそれは、今も引き出しの奥、ひっそり眠っているけれど。
何故って、私は見ているだけで十分だったのだ。
初めて貴方を見た時のような、あんな感動はもうなかったから。
あの時感じた、脅迫観念にも似たあんな思いを持つことは、私にはもうなかったから。
或いは、気持ちを押し隠していただけなのかもしれない。
私がこれだけの熱を貴方に捧げても、きっと軽くあしらわれるとわかっていたから。
それこそが、初めて貴方に会った時、学んだことでもあったから。
ところが、いつからだろう。
私は気付いて欲しくなった。
私がこんなに貴方を見て来たこと、私がこんなに貴方を想っていること、私がこんなに貴方を理解したいということ、私がこんなに…――
気付いて、
気付いて、
気付いて
私に、 私の想いに―
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