BunBoom

□5》number 6
2ページ/6ページ


早く戦いたい、と 思う。

ただの練習とはいえ、競い合う相手の活躍を黙って見ているのは、もどかしかった。


同じ色のナンバリングを身につけた友人とハイタッチをする途中、雄太の視線が充貴へ向いた。

どうだ、とでも言うかのように、不敵に口の端が釣り上がる。

一瞬呆気に取られた後で にやりと笑みを返し、充貴は壁から背を離した。


このヤロウ、か。
待ってろ、だろうか。


言いようのない感情が幾つも入り交じり、自分もコートに立ちたいという思いは、一層強くなる。

バスケットをすることが、そして、雄太というライバルが居ることが、純粋に、楽しかった。


3on3もそろそろ交代だろうと、充貴は電光のタイマーを見る。

残り、30秒。

タイマーの傍らに立つ新藤陽日に気付いたのは、そう認識するのと同時だった。
充貴はほとんど反射的に目を反らす。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ