BunBoom

□1》one's begining
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玄関を出ると思った通りの賑やかな光景が広がっていた。

手当たり次第に新入生に声を掛ける部員達、
次々に曲を変える吹奏楽部、
その横で野球部が曲に合わせて歌っている。

活気に溢れる光景に、自然と気持ちは高まる。
雄太は思わず緩む口元を、片手で覆った。

笑うのは、先輩に会ってからだ。


と、

「テニス部入りませんか!?」
「モテますよ〜」

不意に横から声を掛けられた。

「あ、いえ俺は…」

バスケ部に――


そちらに向き直りながらそう言いかけた言葉をテニス部の一人に遮られる。

「お? なんだ、雄太じゃん」


「……」


思考が一瞬停止する。
その声はまさしく雄太が探していた人のそれであり。

「お前八校受けてたんだ?久し振り!」

「……!は、ちょっ…」

片手にテニスラケットを持ち、笑顔で雄太に向けて手を上げてみせる、その少年は、


「や、すだ先輩…!」



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