BunBoom

□1》one's begining
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「以上を持ちまして、平成--年度 箕瀬第八高等学校の入学式を閉会致します。」


何がなんだかわからないままに始まった入学式は、珍しくもないそのお決まりの言葉で終了した。

それは、新入生の 新しい生活に対するどきどきした思いとは対照的に無機質な言葉でありながら、しかし、同時に、確かな重みを持っている。

この使い古された言葉が、否が応でも入学を、ここからまた全てが始まるのだという事実を、すとんと胸に落としてくれるのだ。


「新入生退場」の言葉と共に、吹奏楽部の演奏が始まった。正月の頃に聞いた気がする、気持ちを高揚させる軽快な行進曲。
そのメロディに背を押されるようにして、体育館を後にする。

体育館を出ると、演奏の音は一気に小さく聞こえるようになった。
淡々と繰り返されていたフレーズが、僅かに穏やかなものに変化する。

新入生の一人、大井雄太は、それを背中で聞きながら教室へと向かった。




教室で改めて担任の紹介がされた後、プリントを配るだけのSHRが始まる。

回されてきたプリントを受け取りながら、雄太はぼんやりと外を眺めた。
生徒玄関の前辺りに、様々なプラカードを手にした上級生の姿。
部活の勧誘だろうと気付いた瞬間に、反射的にその中に目当ての部活のカードを探す。

バスケ部。



集団から少し離れたところに、見慣れた茶色のボールと「男バス」の文字が書かれた画用紙を持つ生徒の姿を認め、雄太は思わず顔を綻ばせた。


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