BunBoom
□7》same, each, but
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一歩校舎を踏み出すと、さわさわと肌をかすめる風が心地よく、自然に足取りは軽くなる。
暖かい日差しに幸福すら感じながら、体育館の前を通り過ぎる。
不意にボールが弾む音が聞こえて、雄太は通りしなにちらりと体育館を覗いた。
意外にも、そこにいたのは女生徒ばかりだった。
バスケをしている彼女達は、皆経験者なのだろうか、おそらく真剣勝負ではないにしろ、動きに迷いがない。
と、その内に見知った顔を認める。
「あ、」
陽日だ。
しかし声をかけるほどの何があるわけでもない。
わずかに驚きを覚えながらも、雄太は部室へと歩みを戻した。
「あれ、港先輩」
古めいたステンレスの扉を開けると、港がいた。
その他に部室内にある姿は、2年生が3人と、充貴。
それは大体普段通りだ。
二つの部室の使い方は1、2年で一部屋。3年が一部屋。
本来なら、港はこちらの部屋にはいない。
「どうかしたんですか?」
充貴の横に進みながら問い掛ける。
「……いや、」
苦虫をかみつぶしたような顔で、港は言葉を濁す。
「……ゴキブリが」
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