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□・隙間と貴方
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きっと貴方は気付かないのだろう。
それとも気付かぬ振りをするのか。
こんな私の 想いなど。
…だから、
《隙間と貴方》
思い返せば、なんてつまらない出会いだったろう。
貴方はサッカー部のヒーローで、私はただの観客で。
気紛れに行ったサッカーの試合。
貴方のしなやかな動きに、走りに、時折覗く柔らかな笑顔に、私は魅了された。
試合が終わるのを待って、私は貴方に声を掛けた。
そうせずにはいられなかったから。
貴方の返事は、淡泊だった。
慌てふためく私とは対称に、貴方はまるで落ち着き払っていた。
それは、憎らしいくらいに。
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