BunBoom
□7》same, each, but
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ボールがコンクリートの上で弾んで、鈍く音を響かせる、図書館裏の小さなコート。
静かに清々しい、独特の朝の空気に包まれて、充貴は地面を蹴った。
一歩、二歩。
ボールを放つ。
「ナイシュー」
ボールがリングを通るのと同時に、抑揚のない声がベンチから放たれた。
充貴はボールを拾いに歩きながら、肩越しにベンチを振り返る。
一呼吸おいて口を開く。
「今何時?」
問いを向けた先は、雄太。
背もたれに寄りかかって座り込んでいた彼は、携帯を一瞥してぱっと立ち上がる。
「今ちょうど半。そろそろ行く?」
「んー」
適当な調子で言葉を返した充貴が、ボールをバウンドさせる。
鳥の声と車の排気音。
にわかに騒がしくなりだした朝の空気を、ボールの跳ねるだむ、という音が震わせた。
A.M. 08:30
DATE,
四月 二十八日
4月も残り数日。
地区大会は、すぐそこまで迫っていた。
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