宝石と怪盗.
□名前
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「わりぃ、待たせて」
「ううん!大丈夫だよ」
じゃ行こっか、と彼が言い私はうん、と返事をして歩き出した。
40分ほどでまわり、時刻は8時を少し過ぎていた。
まだ見ていないのは怪盗キッドが盗みにくるTears of time(時の涙)だけだった。
中森警部が暗号を解けたのかは分からないが、警備の人数が多い。
「警備は多いけど美術館にいるひとは少ねーんだな」
確かに…。キッドが予告したんだからファンたちが大勢集まってくると思ったが、美術館にはそんな人達は1人もいなかった。メディアなども誰ひとりいない。
「みんな暗号解けてないのかな」
私の言葉に彼は少し眉を上げ、にやりと笑った。周りを見ることに夢中になっていた私はそのことに全く気づいていなかった。
「もしかしてキッドの暗号解けたのか?」
「え?あ、うん」
…解けたっていうか、読めたっていうか。…ってことは彼は暗号を解いたんだ。
「へー…」
「そーゆうあなたも解いたんでしょ?」
きょとん、と首をかしげ彼は少しの間、考えているようなポーズをとった。
そしてああ、と納得したようでこちらを見てにかっと笑った。
「今更だけどよー君の名前、教えてくれねぇか?」
……あ。
「そっか!
挨拶遅れちゃったね」
私が言った『あなた』って言葉に疑問に思ったんだ彼は。なるほどなるほど。と納得し、彼と視線を合わせた。
「私は咲宮真琴、
よろしくね」
おう、よろしく!と笑顔で返事をしてくれた彼は次は俺の番な、と言った。
「俺は瀬戸瑞紀っていうんだ」
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