宝石と怪盗.

□世界
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「ーーおい!」





そうはっきり聞こえてきた。

誰の声なのかは分からないが、
確実に家族の声ではないことは分かる。




頭の中が割れそうなほど痛い。
ズキズキして何かに叩きつけられたような痛さだった。
だけど今は、そんなことどうでもよくて
今どこにいるのか、声をかけてくれた人は誰なのか気になっていた。



もしかしたら…と思った。
いやでもそんなことあるわけない。



ゆっくりと目を開くと…ーーー







「おお!!君!大丈夫か!?」









「……」



「道で倒れてたんだ、立てるか?」








「…な、中森警部」




私はきっと今、
ぽかんとしたマヌケヅラだろう。
予想外すぎて驚いた。





「え?私のことを知ってるのか?」


中森警部は少し驚いた顔で私を見た。



「うわー本物だ、すごい……」

ついもれてしまった言葉にハッとし、
手で口を抑える。


「あっ!立てます、大丈夫です!元気すぎて困ってるくらいなんで!はい!」

すばやく立ち上がり、ペコペコと頭を下げた。


「心配かけて申し訳ありません!」

「いやいや、その様子なら大丈夫そうだな、でも気ぃつけないと危ないぞ?」


感動のあまり涙が出そうになるのを必死に堪える。


「っありがとうございました!」




中森警部とわかれたあと、しばらくその辺を散歩してみたところ当然だが、全然見たことがない住宅街だった。

トリップしたんだと実感し、再び涙が出そうになった。

ずっと浮かれてるので、周りから見たら完全に変な人であるはずだ。
こほん、と咳払いをして一旦落ち着く。


とりあえず今の状態はというと…

部屋着だったが現実のほうの高校の制服を着ている。そして大きめのリュックを背負って、結構重たいことが分かるがまだ中身をチェックしていない。
胸のポケットには以前から使っている携帯電話が入っている。
圏外になっていないか確かめるために携帯電話を開くと、ちゃんと繋がっていたのでとりあえず一安心した。


ーー ♪〜♩♬〜


…メール?

一通だけ届いている。
送り主はあの広告にあった会社からだった。






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どうですか?
あなたが望んだ世界に着きましたか?


*


まず、その世界にいる限り
あなたが元いた世界とは通信することができません。

次に、ここでの生活費などの心配は必要ありません。
月に1度、あなたの銀行の口座にお金が入ります。


あなたが住む家は
米花町48ー6ー9 の屋根が赤い一軒家となっています。




※元の世界へ戻りたいのであれば、ご連絡お願いします。
元の世界に戻ることができます。





最後に、この世界の登場人物にあなたが別の世界から来たのだとバレてはいけません。





ご理解の程、
宜しくお願いいたします。








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