短編

□ぴんくのカーネーション
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「.........」

「ケダモノ、大丈夫?」

「うん、大丈夫!ありがとうなまえ!」

いつものように、ケダモノの怪我の手当をする。

さっきから、背中にポピーの視線が突き刺さってる。痛い。


「...なに、ポピー」



「...俺達、付き合ってるんだよな」

「そうだよ。で、どうしたの」


「....て..ね...ろ...」

「え?」


ポピーは俯いて、拳を握り締め、震えだした。

もー、なになに。



「付き合ってるっぽいことしてねーだろ!!!!」

「はぁ!?」


照れてるのか、顔を真っ赤にして怒っているポピー。


「...付き合ってるっぽいことって、ポピーはなにをしたいの?」

「な、何って...そんな...っ!」


更に真っ赤になり、腕で顔を隠す。

恥ずかしい事なんて聞いてないぞオイ。


「その、抱き合ったり...」

「はい、ぎゅー」


「...っ、一緒に、ね、寝たり...」

「じゃー今日一緒に寝よーよ」


「っちッがああああああう!!」

「うおっ!?」


適当に流していたら遂にポピーが怒って地団駄を踏んでしまった。


「もっと、ムードとかあるだろ!?バーカバーカ!!」

あぁ、怒って行っちゃった...。

意外と乙女なのね、ポピー。


まぁ、いいか。
夕ご飯作ろ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カレーを作っているとケダモノが来た。


「あ、なまえご飯作ってるの?僕も手伝うね!」

「わー、ありがとう!ケダモノ!」

「何すればいい?」

「んー、じゃあ鍋回してくれる?」

「はーい!!」


あーケダモノ可愛い。
癒される。


「っ熱ッ!」
「!?ケダモノ大丈夫!?」


うっかり鍋のフチを触ってしまったようだ。

「う〜熱い〜」

涙を浮かべて指をフーフーしているケダモノの手首を背中側から掴み、急いで流水にあてた。


「わっわっ、なまえっ?」

「15分はこのままでいなきゃダメだからね」

「う、うん、分かった。」


...ケダモノ体温高いな。熱い。


「あ、ポピー」

向こうからポピーがずんずんと歩いてきたと思ったら、腕を捕まれ引っ張られた。


「えっちょっ、何?ポピー?」


ポピーは何も言わず、砂漠の方へ歩いていく。
もう日も傾きかけているし、そっちは暗い。


「ポピーッ、なに、ほんと...」


何を考えているのか分からない。
顔も見えない。
ポピーが、怖い。

恐竜の骨のようなものがある付近までくると、ポピーは座った。

腕を握られている私も強制的に座ることになる。

「ど、したの...」

腕は離された。


「なまえはケダモノが好きなのかよ...」

膝を抱え込んで、少し俯きながら、静かにポピーは言った。


「そんな訳、ないじゃん」

「......」

「もちろんケダモノも大好きだけど、友達としてだよ」

「....じゃあなまえは俺が嫌いなんだ。だから、いちゃいちゃしたくないんだろ...」


膝に顔を埋め、震えた声で呟いた。


「…そう言う事じゃないよ」

「……」


ポピーの震えた肩を抱き寄せると、びっくりしたようにポピーが顔を上げた。


「私だって、ポピーと手を繋いだり、だ、抱き合ったりしたい、って思うよ…」


ああ、顔が熱い。
ポピーのせいだ。


「…なまえ…っ!!」


ポピーは涙を浮かべ、眉を下げながら笑った。


「そ、それじゃ、俺が手を繋ぎたいって思った時に、手繋いでいいか?」

「うん、いいよ」

「じゃ、ぎゅーってしたいって思った時にぎゅーしていいか!?」

「いいよ」


言った瞬間、視界が真っ暗になった。


「だ、大好きだなまえ!」

「……」


ああもう、ポピーは直球すぎて、私には眩しいよ。

「私も、好きだよ」





ピンクのカーネーション
花言葉 あなたを熱愛する。
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