短編
□奇妙な三角関係。
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「あ、覚醒」
何故いま覚醒が.....
「今こいつの心が不安定だろ。だから出てこられた。」
私の表情を見て、言いたいことが分かったのか、覚醒は機嫌が良さそうに答えた。
「しかし笑えるよな。お前が俺に奪われるだってよ」
「フリッピーはフリッピーなのにね。」
覚醒はちゃんと理解してくれているのか、と嬉しくなる。
「は?違ぇよ。元からお前は俺のだろ。」
.......前言撤回。
こいつも分かってない。
「だーかーらー、覚醒したフリッピーも、大人しいフリッピーも、どっちも好きなの。だってどっちもフリッピーじゃない。」
そう言うと覚醒は不機嫌そうに眉を寄せた。
「俺とあいつは一緒じゃねぇ」
覚醒は私の後頭部に手を回し、引き寄せキスをした。
覚醒にしては珍しく、触れるだけのキス。
キスした後、こてん、とまた私の太ももに頭を乗せた。
「…なまえ....」
少し掠れた声で名前を呼ばれる。
「ん?なに、覚醒」
私がそう答えると、嬉しそうに目を細め、
「あいつには、渡さねぇ」
と呟き、目を閉じる。
なんで二人ともわかってくれないんだ....
溜め息を吐きたい気持ちを抑え、私も目を閉じた。
「っ!なまえ!!」
「うわっ!?」
フリッピーの目が覚めたようだ。
勢い良く起き上がった。
「ど、どうしたのフリッピー」
「い、今僕、覚醒に....」
.....不安、なのか。
「....フリッピーはずっと寝てたよ。」
思わず嘘をついてしまった。
あまりにフリッピーが不安で、泣きそうで、辛そうだったから。
「そっか....良かった...
なまえは、僕のものだ」
(この奇妙な関係を、どうしようか。)