短編

□popee!!!
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ーーー最近、ポピーがおかしい。
いやおかしいのはいつものことだけど、更におかしい。


「おい!なまえ!ちょっと見てろ!」

「はいはい」

そう言ってポピーはジャグリングを始めた。
その表情は真剣そのものだ。

.....ああしてると格好いいのに。

ポピーは怒りっぽくて、失敗するといつも八つ当たりをしてくる。

ーーーガタンッ


あ、落とした。

「ポ、ポピー」

近くにいたケダモノが心配そうに声をかける。

なにやってんのケダモノはやく逃げろよ!!

またポピーがケダモノに爆弾を投げて、いつもの鬼ごっこが始まると予想するが、

「.........」

ポピーは泣きそうな顔で私をちらっと見たあと、しょんぼりとケダモノの方へ歩いていった。


な、なんだあれは.....


......最近はいつもこんな調子なのだ。

私に声をかけて、一生懸命技をやって、失敗して、落ち込んだ様子でまたケダモノと練習をする。


.......おかしい。

まぁ殺されないから平和なのだけれど。





そんな日が数日続いたある日のこと。



「な、なぁなまえ、ちょっと見ててくれ」

いつになく緊張した面持ちでポピーに声をかけられた。

今日も技を披露してくれるようだ。


今日の技は....林檎刺し?

50mほど先に林檎が置いてあり、ポピーはナイフを持っている。

ナイフはポピーが得意な道具だ。
今日は成功させてくれるのだろうか。


「.......」

ポピーは緊張を吐き出すように、ふぅー、と一つ息を吐いた。

そして、投げた。
ヒュッと鋭利な音をたてて投げられたそれ。


ーーーーーサクッ


見事、命中。


「ポピー!やった「よっし!!やったぞ!」」

私の言葉を遮って、ポピーは興奮した顔で私に走り寄ってきた。

「なぁなまえ!俺、格好良かったか!?」

「う、うん、格好良かったよ」

「!そ、そうか!」

ポピーの興奮に少し気圧されてしまう。

ポピーの顔が赤い。
興奮のせいだろうか。

「じゃ、じゃあ惚れたか!?」

「えっ!?」

「俺に惚れたかって聞いてんだよ!」

「え、いや、なんでっ、急に」


突然の発言に、顔に熱が集まる。

「え、だって、パピーが...技成功させれば、お前が俺に惚れちゃうぞって.....」

「な、なっ....」

「パピー!嘘だったのか!あれ!!くそ!」

ポピーはその場で地団駄を踏む。


というか、ポピー、それって...

「ポ、ポピー、私に惚れてほしい、の?」

「!」

ポピーの顔がカッと赤くなった。

「だ、だって、俺は...」

「.....」

「俺は、お前が....好き、だ」

「.....!」

「だから!お前も、俺を好きになってほしい」


肩を掴まれてポピーの方に引き寄せられる。

包み込まれる感覚に、全身が熱くなる。


「私、練習してるポピーを、格好いいなぁっていつも見てた」

「!」

顔が見えるように、ポピーの胸板を押して少し離れる。






「...ポピー、好き。」

「.......!なまえ!なまえ!!」

「はいはい」

「好きだ!大好きだ!!」


うっすらと目に涙を浮かべたポピーが、笑った。







Poppy
花言葉 恋の予感

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