短編

□純情なのです
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今日は珍しく早起きをしてみた。
何か良いことが起きる気がする。
早起きは三文の得だからね!


そして朝食の準備をしていると、突然窓が粉々に割れた。


「ねぇなまえ!キスしよう!」

「氏ねエセヒーロー」

「ひどい!」

「酷いのはお前だ!毎回毎回窓壊して入ってきやがって!」


.......はぁ。
今日も来やがったこの糞ヒーローめ。

いつもいつもこのヒーローは突然窓を割って入ってくるのだ。

しかも大した用がない。
これを怒るなと言う方が無理だろう。

またハンディに頼まなきゃ....


「そんなことよりキスがしたい」

「人の話を聞きやがりなさい馬鹿」

「ははは、なまえはいつも可愛いなぁ。ツンデレかい」

「違うにきまってるだろ。.....ってやめろ腰触るな」

「この曲線堪らないよハァハァ」

「いやああああああああ変態いいいいいいい」


叫んでみるも、ディドの手はさわさわうねうねと動いてやまない。


うわああああくすぐったい!!


「ひゃ、ちょ....!...離せ!」

「キスしてくれたら離すよ!」

うわ笑顔が眩しい。


「....分かったよ!キスする!だから離して!」

「え!?い、今なんて?」

ディドはぱっと手を離す。


「だからキスする、って.....なんでそんな顔赤いの」

ディドは顔を真っ赤にして固まっていた。

「え、いや、だって....」

わたわたと何故か慌てている。

なんなんだこいつは…


「まぁいいや。ほら、キスするからしゃがんで。」


ディドはぎこちない動きで頭を下げた。


ーーーーーちゅ


「!!!〜〜〜ッ!」


頬に軽くキスしただけなのに、ディドは顔を真っ赤にして頬を押さえていた。

ディドがしろって言ったくせに....


「あっあっあああ、ありがとう!!」


早口でそう告げると、来るときに割った窓から飛び出していった。

あまりに速く飛び出すから窓枠が外れてしまった。

......全く。




.....こんなに顔が熱いのは、きっとあのヒーローのせいだ。




(き、キス、なまえが、俺にキスしてくれた....!)

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