短編

□俺であり、俺でない
1ページ/1ページ



「よぉ、久しぶりだな、なまえ」


「あはは、か、覚醒...久しぶり....」


やってしまった。
せっかくフリッピーと楽しくお茶会してたのに、私がティーカップを割ったせいで覚醒が出てきてしまった。

「ち、近付かないで.....」

軍服から出したサバイバルナイフで私の頬をなぞる。

「った....」

頬が切れてしまった。
地味に痛い。

「ふ....うまそ」

切れた頬を覚醒は舌でなぞる。

「や、めて...」

私の恋人はフリッピーであって覚醒ではない。
体が同じだといえども、フリッピーが嫌っている覚醒に心を許すのは浮気だ。
私はフリッピーを不安にさせたくない。

「ハッ....俺とアイツは違うってか」

「............」

なんで、そんな顔するの。

なんで、泣きそうなの?
なんで、そんな瞳で私を見つめるの....?

「なまえ.......」

なんで、そんな優しく私に触れるの.....



(どうして、俺はあいつになれないんだ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ