長編

□第一夜
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ーー宵の刻ーー『月の寮』前

あの雪の日から十年
私立黒主学園

「はいはいはい、下がって下がって!デイ・クラスの皆さんはもう門限ですから自分の寮に帰って!」

大声で呼びかけながら、見目麗しいエリート集団であるナイト・クラスをより近くで見ようと奮闘する生徒達を小さな体で必死におさえようとする少女、黒主優姫。


そんな優姫の頑張りも虚しく_



ガシャン

ギィイイイイ…


ナイト・クラスの門が開く

「おはようーっ女の子たち♡今日も元気でかわいいねぇ」

ナイト・クラスの登場だ。
そこらの芸能人よりも美しく、輝くようなオーラをまとって現れた。

ナイト・クラスの一人が笑顔で生徒たちに声をかけると、
それを合図に呆れて突っ立っていた優姫を押し退けかけだす女生徒たち。


ドンッ

走り出した生徒たちに押され転けてしまう優姫。

そこへ

「大丈夫かい優姫、いつもご苦労様」


膝をつき、微笑みを浮かべながら手を差し伸べる麗しい美青年。

ナイト・クラスのクラス長で、『月の寮』の寮長

そして十年前優姫を助けた男の子、玖蘭 枢



「っはい…、大丈夫ですっ!」
焦りながらも枢の手をかりずに自分で立ち上がり少し距離をとる。

「クスっ) 君はいつも僕にかしこまっているね。少し寂しいな」

「いや…、だって枢センパイは私の命の恩人の一人ですからっ」

「気にしないで、そんな昔のこと…。姉様もきっとそう思ってるよ」

少し表情が陰りを見せたがすぐに微笑み優姫の頭を撫でる枢。

それに顔を真っ赤にして照れてる優姫。



ぐいっ


「授業が始まりますよ、玖蘭先輩」

そこへ突然現れて枢の腕を掴み、優姫の頭から引き離して睨みつける青年、もう一人の風紀委員の錐生 零。

それを見た枢は「怖いね風紀委員さん」と言いながらも全く思ってなさそうな顔してWさっWと零の手をはらいやっと校舎に向かって行く。





「お前があいつに好意を持とうが俺には関係ないが分かっているだろうな?」
枢が去った後、呆れたような目で見てくる零に思わず反応してしまう優姫…。

「わかってるよっ、"あの人達"が私たちとは違う存在だってこと、てゆーか憧れてるだけだし!!」


見目麗しい彼らナイト・クラスはただのエリート集団じゃない。

普通科の一般生徒が知らない秘密

ナイト・クラスは全員『吸血鬼』

一方、優姫と零は風紀委員とは仮の姿で真の姿は"守護係"
ナイト・クラスの秘密を守るための保安委員。




そして、そして一連の騒動を気配を消して眺めているものが2人いた。
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