Song's stories
□You're in my heart
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「────い、おい、良!!!」
「はっ、はい、スイマセン!!何ですか!?」
ぼーっとしていたら、青峰さんが僕を呼んでいることに全く気がつかなかった。
…最近、こうやってぼーっとしていることが多くなった。
「何ぼーっとしてんだ。弁当」
「あ、はい、どうぞ…」
いつか弁当だってあの子に……って何を考えてるんだろう。
あの子……笠原さんは僕の事なんか覚えてないかもしれない。
何せ、違うクラスだし、あの日だって…──
〜〜〜〜〜〜
『……』
笠原さんは、葉桜となってしまった木を見つめていた。
微かに風が吹いて、彼女の髪が靡いた。
その横顔があまりにも綺麗で、彼女が僕に声をかけるまで見惚れていた。
『……?』
「あ、すっ、すいません……その……」
『…桜、散っちゃったね』
そう言って、また木に目線を移した。
その横顔は少し憂いを帯びていた。
「桜、好きなんですか?」
『うん…ねぇ、桜の花言葉。知ってる?』
僕が首を傾げると、彼女は少し黙った後、口を開いた。
『─────……』
「…え?」
〜〜〜〜〜〜
結局、笠原さんが何を言ったか聞き取れなかった。
家に帰ってから調べてみたけれど、桜は意味がたくさんある。
だから、どれとは特定が出来ない。
「…………。」
「……お前マジで何かあったのか」
「い、いえ、そんなことないです、すいません……」
名前は、桃井さんに聞くことが出来て、一つ笠原さんを知った。
……けど、笠原さんを好きだと自覚してしまってからとうとう満足が出来なくなった。
もっと、もっと笠原さんを知りたいと、そう思ってしまう。
「そういえばさ」
青峰さんが口を開いた。
今は僕しかいないから、僕に話しかけているというのは当たり前だけど…。
「お前さ、さつきに##NAME1#のこと聞いたんだってな」
「……え?」
僕が驚いたのはその事実を知っていたことじゃない。
名前を呼びあう間柄なのか、だ。
「言っとくけど俺の彼女とか誰かの彼女とかじゃねぇから。」
「…そうなんですか……」
「なに安心しきってんだよ」
「そっ、そんなことは……」
正直、安心している。
誰かの彼女…というか、今目の前にいる青峰さんの彼女だったらもう死にたいくらいだった。
「……まぁ、あいつモテるらしいからな。さつきから聞いたけど」
「そうなんですか…」
そんな気はしていた。
……と言うことは、言い方は良くないけど選び放題…。
「ちなみに、諏佐さんも告って撃沈したらしいぞ」
「えっ」
先輩からも人気なんだ…。
どうしよう…諏佐さんがだめだったら僕なんかもっとだめだ……。
もしかしたら、この瞬間にも……。
「まぁ、顔はそれなりだしスタイルはいいけど胸がな…」
…………相変わらずそういう見方するんですね……。