short stories

□I'm your lover!!!
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『カミュさん。』
「…………。」

まただ。
またスルーされた。
カミュさんはさっきからずっと本を読んでいて、私が名前を呼んでも、この調子だ。

『カミュさん!!!』
「……さっきから何だ!!」

………そんな顔で睨まなくても…。
今日はせっかくの二人揃っての休みで、二人でどこか行ったりしようとも思って、一人でワクワクしていた。
そのままのノリで私がカミュさんの部屋に来てから今まで、本当にずっと本を読んでいる。

『…せっかくの休みなのに……』
「……………。」

それでも、この部屋にはカミュさんが本のページを捲る音だけが聞こえる。

『もう………カミュさん!!!!!!!!』
「…………六花。」

ようやくカミュさんが本を閉じて私の方を向いた。

「……騒々しいぞ。少しくらい黙っていられんのか。いくら休日だからと言って羽目を外しすぎるのは良くない。」
『ちょっと……どういう事ですかそれ!!!』
「そのままの意味だ。理解しろ、低能め。」
『なっ………!』

……さすがに低能とまで言われるといくら私でも悲しい。
…このままだとまともに接してもらえなさそうな………。
そう思って部屋を出て行こうと立ち上がると突然、腕を捕まれた。

「……何処へ行く気だ。」
『…カミュさん……本に集中してるから……邪魔かなーって…』

あれっ
自分で言ってて余計に悲しくなってきた。
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