Song's stories

□アンドロメダにクチヅケを
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バリバリ....


『敦ー』

ボリボリッ...


『聞いてる?』
「聞いてる聞いてる。」


とか言って、お菓子を食べる手を止めない。
元からだけど。

何で二人でこうしているかと言うと、私が今日バスケの県予選で負けてしまったところなのだ。

つまり慰めてくれたっていいじゃない、と言いたい。


『もう……』
「まぁそういう時もあるよ」
『経験したこと無いでしょ』
「無い」


このやろう…


「それよりさ〜」
『…何』
「お菓子無くなったから買いに行こ」

夕方、敦がここに来た時点では袋一杯にあったはずのお菓子が、ごみくずと化している。


『……あのさ…』
「気分転換にもなるし?」
『うん…』



渋々、敦と一緒に近くのコンビニまで出掛ける事に。

「…ん。」
『…!』

言わずとも、すっと手を出して繋いでくれる。

『…ありがと』
「…別に…俺が繋ぎたかっただけだし。」
『それでもだよ。』


そう言うと、敦はそっぽを向いた。
照れなくて良いのにね。

コンビニで大量に…それはもう大量にお菓子を買って、外へ出た。
ふと上を見上げると、曇りの無い夜空に無数の星が輝いていた。


『綺麗だね〜…』
「んー?そう?」
『あ、ほら。あそこ。』
「どこ〜?」


無数の星の中でも一際輝くその星達。


『確かね、アンドロメダって言うやつだよ。』
「知らね〜」
『お姫さまの星なんだって』

私がそう言うと、敦は急に歩くのを止めた。
どうしたものかと思っていると、ふと私の方を向いた。


「じゃあななちんの星だね〜」



……普段は照れなのか、自分からあまり好きとも言わないのに、こういうことはさらっと言ってのける。

『……何でそういうことは言えるかな…』
「何が〜?」
『好き、ってあんまり言わないのに』
「………それとは別なの。」


ちょっとむすっとして言った。
…そりゃ、普段の態度とかそういうの見てたら愛されてるとかも分かるし、私だってそういう態度はとってた。

けど、たまには言葉で聞いてみたいもの。
…言われたらそれはそれで照れ臭いけど。


『…ねぇー』
「何ななちん〜」
『1回!ね!』
「………しょーがないなぁ…」

少し屈んだかと思うと、背中に手を添えて、膝の裏に手を入れてひょいっと持ち上げられた。
所謂、お姫さま抱っこ。



『あ、敦……?//』
「…大好きだよ。お姫さま」
『!!…ん…っ……////』


……キスしろとまで言ってない…。
きっと私の顔は赤いだろうけど、夜だから見えてない……といいな。





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