偽恋物語
□ことの始まり
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放課後になり、昼間の事を参考に友人の意見を聞くことにした。
「…梓、梓は誰か好きな人とかいるわけ?」
私はただいま、携帯画面を器用にスライドしたりドラッグしている友人ー神崎梓ーに聞く。
「いるよ…!!」
「…誰?」
自信に満ち溢れた表情の梓に呆れながら私は聞いた。
何故ならば答えは大体決まっているからだ。
「それはね、誠くんだよ〜」
そう言って、私に今し方いじっていた携帯の画面を見せる。
そこには…爽やかな茶髪のイケメンが映っており、下には「誠」と表示アイコンがあった。
要するにアレだ。
梓は乙女ゲームの二次元男子「誠くん」が好きらしい。
「へ−」
まあ…人の趣味をとやかく言うつもりも無いので何も突っ込まずにいる。
「詠もやってみなよ〜!」
携帯の画面をズイッと押し付けてくる。
「あ…誠くん以外ね!」
「…そもそも、やんないから」
私は携帯を押しつける梓に言った。
すると残念そうだが携帯を私から離すと「今度やろうね…!」といわれた。
私は適当に「うん、今度ね…」と言っておいた。