恋愛小説

□魔王の戯れ
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第六天魔王が、妻に組み敷かれていた。しかも岐阜城の天守閣で、

「お濃…お前は、何を望むこの信長の首か。」

そう濃姫は、夫、信長を殺しに来ていた。

『信長が噂通りのウツケなら、これで刺し殺せ』

濃姫は、密命を帯びていたそれは、父からの与えられたものだがそれは、もう意味をなしていない

 それでも濃姫は、大好きだった父の策を実行しようとした。

その日本人離れの発育をし、男どもを魅了してきた『魔乳』。その深い谷間から短刀を取り出し、鞘から抜き放つ。それを夫に突き立てれば、すべては終わる。

しかし、その刃を振るうことは、できなかった。

 「どうした、お濃。我を殺すことが、うぬの望みであろう」

信長は濃姫を見上げ問いかける。

その瞳には、長年連れ添った妻に、訳も分からず殺されそうだというのに、恐怖の色は、無かった。

「そう思っていたわ。でもそんな評定されたら興ざめよ。」

 やがて濃姫は、短刀を鞘に納めゆっくりと、床に置いた。

濃姫の口元に、笑みが浮かぶだがその微笑みは、ひどく寂しげな微笑みだった。

「そうね、あなたを殺した世界で、私には何が残るのかしら。貴方への愛は、心の中で永遠に生き続ける、殺しても何の得もないわね。」
 濃姫は、ゆっくりと自分の唇を信長の唇に這わせる

“チュ…チュゥゥ…クチュ…クチュ”

 二人の口づけは、時がたつほどに激しさを増す。
その激しさは、息をする声よりも口腔を買出る卑猥な音のほうが響くほど、互いの口腔を貪る。

二人が満足して唇を放すと一本の銀の糸が垂れた。
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