小説
□妖怪退治
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此処は大多橋(おおたばし)近くの森―。
大多橋は大きな川が土地をほぼ囲む形で流れており橋が多い事から名付けられた。
田嶌ノ守は邸から軽快に馬を走らせたが、森の半ばに差し掛かると走る事を止め、ゆっくりと目的地まで向かう途中…。
「暑いのぉ〜!溶けそうじゃっ!
一体いつになったら着くのじゃ。」
途中まで快調に飛んで来た天狗も急に速度を落とし蒸した風を受けると息をするのも億劫だと愚痴る。
歩く事一刻程で皇舞の横を飛ぶ天狗は暑さにうんざりと言った様子で到着はまだかと急かした。