short/温かな光
□今更の嫉妬
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「そう言えば…ナマエよ」
「ん?なぁに?」
新しい年も始まって、気を引き締めているわたしに、リヴァイは
「俺の誕生会に、新兵と二人きりになってたな」
と言った。
あれ、忘年会で忘れてくれたハズでしょー?しかも今更〜★…と言った雰囲気でにこりと微笑んで見せたが、当の兵長はとてつもなく恐ろしい表情をしていた。
「ほ、ほら、リヴァイ。忘年会で嫌な事は忘れて、この新しい年は昨年を引きずらずに――」
「いいや、そういう問題じゃねぇ」
「で、でも、今更そんな…」
「噂は聞いている。あのジャン・キルシュタインとかいう新兵、ナマエに憧れてるらしいな」
…はい?……憧れ?
「いやいやリヴァイそれはないって!むしろジャンはわたしを女だと見てないんだよ!」
「もう呼び捨ての仲か…てめぇは本当に脇が甘いな」
あ、だけどそう言えばあの時、ミカサが『ナマエに落ち度がある』的な事を言ってたな…なんてふと思い出した。
だけどジャンは友達だ。いつでも色んな悩みを聞いてくれるし、とてもサバサバとして付き合いやすい。
「でもねリヴァイ、彼はわたしとリヴァイの事、すっごく応援してくれてるんだから!」
「ほぅ…かなり親密なようだな」
ああ、今日のリヴァイには何を言ってもダメなのかもしれない。
「じゃ、じゃあわたしは、誰とも友達になっちゃいけないの…?」
「なんで男と友達になる必要がある」
「…兵士には男の人の方が多いんだから、仕方ないじゃない」
ぶーと不貞腐れてみれば、リヴァイの表情はますます怪訝なものになった。
わたしにどうしろと言うのだ。まさか友達関係に関してまでこうも嫉妬深いとは…
「リヴァイって…本当にわたしの事が好きなんだね」
と笑って見せれば、リヴァイの眉がピクリと動いた。
あーもうダメだ…本当に今日のリヴァイは手に負えない。
「いいか、ナマエ」
「はい…」
「自分じゃ気付いてねぇんだろうが、てめぇはかなり魅力的で兵士共の憧れだ」
「……は?」
「だから万が一、何かあってからじゃ遅いんだ。わかるか?」
この人は自分の恋人に向かってなんて恥ずかしいセリフを堂々と口にするのだろう。
満更でもないわたしは、少しにやりと笑ってしまった。
「…なに笑ってんだ」
「いや、あの、リヴァイがそんな風に見てくれてるなんて、なんだかちょっと…えへ、嬉しいな」
「気色悪ぃ事言うな」
「あ、照れてるー」
「てめぇ…!!」
わたしはどんな形であれ、リヴァイに愛されていると嬉しい。
そしてそんな彼を…人類最強の彼を、とても可愛いと思う。
きっとリヴァイにこんな感情を抱けるのは、世界に一人、わたしだけだ。
お互いがお互いにとって、とても特別。
「ねぇリヴァイ」
「…なんだ」
「今度休日が重なったら、久し振りにデートしよ」
「………」
「嫌かな」
「…悪くない」
いつだって大好き。ずっと大好き。
どんなあなたでも…。
月並みの想いだけど、この幸せが、ずっとずっと続きますよーに。