short/温かな光

□兵長の誕生日(エレン&ミカサ)
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巨人の話をしに来たのかとナマエの姿に目を輝かせたエレンが、一瞬にして興味を失う。私も同じく失った。
というか、どうしていいかわからない。


「いくらなんでも、兵長の好みなんかわかんねーよ。むしろお前の方がわかってるんじゃねーの」


その通りだ。


「ミカサは?ミカサはエレンから何をもらったら嬉しい?」


それを答えたら、エレンは私の誕生日にそれをプレゼントせざるを得ないではないか。
ん。ナマエは何を言っている?私とエレンは、ナマエと兵長とは違う。


「ナマエ、いつも言ってるけど、私達はナマエ達とは違う」

「ん?」

「私達は、家族だから」

「でも、大切な存在に代わりないでしょ?」


今日のナマエは真剣だ。メモ帳とペンをしっかりと握り締めて、少しでも情報を得ようと瞳を輝かせている。


「家族と恋人じゃやっぱ違うだろ」

「私もそう思う」


ナマエは何を思って私達に聞くのだろう。


「じゃあ質問を変更…。ミカサは、エレンから何をもらって嬉しかった?」

「え?」


突発すぎて、思わず頬が熱くなった。
首に巻いてあるマフラーに、自然と指が伸びた。
私は…


「私は、エレンがいればいい」


物なんか別に要らない。
ただエレンがいればいい。それだけでいい。


「………」

「どうした?」

「なんだかんだで、結構過激だね、ミカサは」


あははは〜とナマエが笑う。いや、そういうつもりでは。

だけどナマエ、あなたならどう。あなたは大切な人から、何をもらったら嬉しい?
そこで「物」を答えられるほど、私達は強くないだろう。
この世界で一瞬でも地獄を見たなら、尚更。


「…リヴァイも、同じように考えてるかな」


ポツリとナマエが呟いた。


「私もそうなりたいな。ありがとう」


バイバーイ、と手を振り去っていく後ろ姿があまりにも純粋で。


「にしたって、あのリヴァイ兵長がナマエと、ねぇ」


半ば呆れ顔のエレンの横顔を見つめる。
巨人を駆逐する事にまっしぐらな瞳…私は、あなたを守りたい。


「ん、どうしたミカサ」

「…なんでもない」


失ってから気づくのでは遅すぎるのだ。
だから私は、必ずエレンを守る。

エレンと、未来へ進みたい。

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