short/温かな光
□奪ってやるから
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「ジャン〜!」
俺のところに来たナマエの目は、真っ赤に腫れていた。
「な、どうしたナマエ!」
「リヴァイがぁ…」
あぁ、またいつものケンカか。
かと言って胸に抱いて頭を撫でてやる事など叶う訳もなく…
「んだよ、大丈夫だよお前達なら」
「仲直りするのだって大変なんだからぁ」
「でも次にお前と兵長見たらいつもいちゃいちゃしてんじゃねーか」
正確には、ナマエが兵長にベタベタしているように見えるのだ。他の奴にはわからねぇかも知れねぇが、俺にはわかる。
「時間が解決してくれんだろ」
「なんか、冷たい〜…」
「あのなぁ」
惚れた女の恋愛相談なんか、楽しい訳がない。
「ジャンだったら絶対彼女は大切にするよね?」
「………」
「好きなのになんでイジワルするのかなぁ…ジャンはなんだかんだ言って絶対優しいもん」
なんつー恥ずかしい話をしてるんだこいつは。
「そういう優しさがリヴァイに足りないんだよー」
と頬を膨らますナマエが可愛くて仕方ない。
「じゃあナマエ、兵長やめて俺んとこ来れば」
「え」
「大事にしてやるぞ」
冗談混じりにだが、顔を見ずに言った。…見れる訳がねぇ。
「そうだね、きっとジャンなら大事にしてくれるよね…」
「!?」
「リヴァイも、ジャンみたいに優しい気持ちは持ってくれてるんだけど…」
束縛されちゃうだの言葉がきついだの構って欲しい時にそっちのけだの、ナマエは結局のろけ話を延々と続けた。
こいつは本当に鈍感だ。
「ナマエ、お前結局兵長の事好きなんだな」
「え」
それも相当、だ。
いつかもっと力をつけてリヴァイ兵長を越えてやる!…と思うのは、傲慢なんだろうか。
だけどそしたらナマエは、俺を見てくれるだろうか。
ナマエ…いつか、
いつか、兵長から奪ってやる。