short/温かな光

□リアルな夢
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リヴァイが帰ってくる。足音が聞こえる。


「おかえりなさい」

「あぁ」


笑顔で彼を迎えて彼の荷物を受け取ろうとすると、彼は「いい」と言った。

ちらりとわたしの腹部を見て、


「体調はどうだ」


と無表情で言った。


「直接聞いたら?」


と笑うと、


「…手、洗ってくるから座ってろ」


と答えた。

少し膨らみ始めたお腹はまだまだ軽い。
だからこそ心配な時期で、彼は常に胎内の子を気に掛けてくれている。


「ねぇリヴァイ」

「なんだ」

「たまにはわたしの調子も聞いてよ」


くすりと笑うと、リヴァイの耳が赤くなった。


「お前の事も腹の子の事も心配してるのがわかんねぇのか」

「うん、わかんない」


と笑って見せた。

ソファーに座ったリヴァイの隣に腰を降ろして彼の肩に頭を委ねると、すごく心地よい。安心する。

リヴァイは真っ直ぐ前を見つめながらも、わたしのお腹に手を当てた。

優しく撫でてくれる。


「頑張って、産まれてこい」

「もー、わたしにも頑張って産んでって言ってよー」

「お前は大丈夫だ」

「どうして?」

「俺がいるだろ」


と目を合わせる暇もなく、唇を塞がれた。

ちゅ、くちゅ、とお互いの唾液がお互いを行き来して、吐息がだんだん荒くなっていく。


「だ、ダメだよリヴァイ……」

「…ったく、早く安定期に入りやがれ」

「え」

「安定期なら、大丈夫なんだろーが」


耳どころか顔全体が真っ赤になっているリヴァイの腕にしがみつく。


「どこで勉強してるの、そんな事」

「………」

「ちゃんと勉強してくれてるなんて、リヴァイはいいお父さんになりそうだねー」


お腹の子に囁いた。


「うううるせぇ…!あと、それ以上くっつくな!もう色々限界なんだよ!」

「リヴァイ…大好き」

「……ガキが産まれても、俺をないがしろにするなよ」


可愛い事を言うなーと思いつつ、


「どうかなー」


ちょっといじめてみちゃいました。


「てめっ…!」

「だって、大好きな人との赤ちゃんなんだもん」


そう言って笑うと、トクン…とお腹が動いた。

初めての胎動。


「リ、リリリリ、リヴァイっ!!赤ちゃん動いた!!」

「な、ちょっ…!」


再び手を洗いに行こうとする彼を止めて、その手を取り腹部にそっと当ててもらった。

トクン、と、お腹の中の子は、父親にも反応して動いてくれた。


嬉しい。…嬉しい。


「ねぇリヴァイ、さっき、言葉を間違えた」

「あ?」

「大好き、じゃなくて……愛してる」

「…あんまり煽るな」


そうしてわたしたちは、どちらともなく唇を重ねた。
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