short/song
□Stimme ―声―
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「おいナマエ、なんて顔してやがる」
「わたしは普通だよ」
だけど俺は知っている。
ペトラ達がいなくなった今、心を小さく震わせ怯えている事を。
何も出来なかった自分に、もがいている事を。
「一人で抱えるな」
俺にも預けてくれ。その痛みを。
「リヴァイは心配性だね」
「じゃあ明日聞いてやる。明日も話せないようなら、明後日聞いてやる」
「リヴァイ…わたし、大丈夫だから」
「自分の価値なんか、お前が勝手に思い込んでるだけだろうが」
「………」
ナマエ、ひとりで傷付くな。
諦めて目を逸らす事なんか出来ねぇくせに。
「ひとりが怖いならすぐ俺のとこに来い」
「…怖くなんか、ない」
「強がる暇があるなら前を見ろ」
「こんな世界じゃ、前なんてどっちかわかんないじゃない」
ナマエ、俺も一緒に跳ぶから。
例えば違う場所であっても、同じ空を一緒に跳ぶから。
だからそんな顔をしないでくれ。
「リヴァイにはわかんないよ…何が正しいかわかんなくて、やっと見つけた答えも結局間違ってたりする」
「今更なに言ってやがる」
「…リヴァイのバカ」
「ああ。だから俺は、お前がひとりで泣かない世界にしてみせる。少しずつでも」
いつだってお前は、そうやって世界を悲観して泣く。
俺はその心を、軽くしてやりたいのだ。
だからナマエ…傍にいてくれ。
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一斉の声/喜多修平