short/song

□Stimme ―声―
1ページ/1ページ

「おいナマエ、なんて顔してやがる」

「わたしは普通だよ」


だけど俺は知っている。
ペトラ達がいなくなった今、心を小さく震わせ怯えている事を。
何も出来なかった自分に、もがいている事を。


「一人で抱えるな」


俺にも預けてくれ。その痛みを。


「リヴァイは心配性だね」

「じゃあ明日聞いてやる。明日も話せないようなら、明後日聞いてやる」

「リヴァイ…わたし、大丈夫だから」

「自分の価値なんか、お前が勝手に思い込んでるだけだろうが」

「………」


ナマエ、ひとりで傷付くな。
諦めて目を逸らす事なんか出来ねぇくせに。


「ひとりが怖いならすぐ俺のとこに来い」

「…怖くなんか、ない」

「強がる暇があるなら前を見ろ」

「こんな世界じゃ、前なんてどっちかわかんないじゃない」


ナマエ、俺も一緒に跳ぶから。
例えば違う場所であっても、同じ空を一緒に跳ぶから。
だからそんな顔をしないでくれ。


「リヴァイにはわかんないよ…何が正しいかわかんなくて、やっと見つけた答えも結局間違ってたりする」

「今更なに言ってやがる」

「…リヴァイのバカ」

「ああ。だから俺は、お前がひとりで泣かない世界にしてみせる。少しずつでも」


いつだってお前は、そうやって世界を悲観して泣く。
俺はその心を、軽くしてやりたいのだ。

だからナマエ…傍にいてくれ。









--------------------
一斉の声/喜多修平

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ