short/song
□愛している
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仲間が死んだ。そんなのは慣れてた筈だった。なのになんだこの感情は。なにが人類最強だクソ。俺は自分を過信してたのか。いや、過信なんかじゃねぇ…なんなんだこのザマは。
そうやって結局、ナマエにもしもの事があったらと考える。
「リヴァイ?」
「…なんだ」
「どうしてそんな小難しい顔してるの?」
心配そうな瞳で俺を覗き込むナマエの頭を撫でてやると、切なげに、ナマエは微笑んだ。
女に惚れ込むとか、ましてそいつを大事に思うとか…そんな感情は俺には必要なかった。痛いくらいわかってる。
それなのに俺はナマエを好きになった。…いや、違うんだ。ナマエには幸せになってほしかっただけだ。自分が幸せにできるなんて、あの頃も、今だって、無理なんだと知っている。
「リヴァイ、なにか迷ってる事があるでしょ?」
「…勝手に勘ぐるな」
「だって、そんな顔してるよ」
俺は沢山の事をぐちゃぐちゃに巻き込んできた。クソ汚ねぇ過去は自ら望んだものじゃねぇ。この狂った世界のせいだった。
だから俺は地上に来た。
それなのに、また…また俺は同じ過ちを繰り返すのか。
また誰かを傷付けるのか。
俺がどれだけ足掻いたって、ナマエを幸せにできるはずがねぇ。
内地で穏やかに暮らしてる商人のところにでも嫁にいけば、こいつの人生は潤っていただろうに。
求めていたのはこんなもんじゃねぇ。大事な女なんか要らなかった。
「ねぇリヴァイ」
――だけど、これもまたひとつの俺の人生なのだろうか。
「リヴァイ、好き」
人の気も知らねぇナマエが小憎らしい。
だけどナマエが、例え嘘でもそう言うのなら、俺は心が緩んで信じてしまうのだ。
「ああ…お前が好きだ。ナマエ」
正解をひとつに絞る事は、俺にはできない。
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Any/Mr.Children