long/温かな光

□3-7
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ストヘス区で、わたしはハンジの隣にいた。
女型の巨人が現れるのを捕獲装置を構えながら待っているのだ。


「ねぇハンジ」

「なんだい?」


やけに目を泳がせているハンジがわたしを見た。


「本当に、アニが女型の巨人なのかな…」

「エルヴィン達がそういう判断に賭けたなら、私たちは信じるしかないよ」

「でも…」

「ナマエは相変わらずのお姫様っぷりだねぇ」

「え」

「まだわからないのかい?女型の巨人が何をしたのか」



――そんな事、わかってる。



「どれだけの人を殺したのか」



――わかってるの。



「ナマエ、君はあまりにも世間知らずだ」

「…わかってるよ」

「いや、わかってないね。わかってないから、今ここにいるんだ」

「それは、わたしが兵士を志願した事を否定してるの?」

「そうとも言えるね」


わたし達の空気に挟まれて、モブリットがそわそわしている。


「君が兵士に向いていないと言うつもりはないよ。むしろ適性としては向いているんだろうね。でも君は、エルヴィンの大切な存在であり、かつリヴァイの恋人だ」

「…ハンジ、あなたがそんな事言うなんて」

「私たちは人間だ。本来生物の目的は生きて子孫を残す事。人類のその目的の為に、我々調査兵団は生きていく事を放棄してるようなものだ。…君にはそんな生き方が似合わないんだよ、ナマエ」

「………」

「君は、エルヴィンとリヴァイを、優しく待っている存在で良かったんだ」


ハンジ。
それじゃわたしは、何の為に――



“お前がいる事で、誰かが生きる光を見出だせたとしよう”

“だから今のままで構わないんだ、ナマエ”



「…!!」


その言葉は、いつか未来に迷うわたしにリヴァイがくれた言葉。
それを結果無視して、わたしはここにいる。

今リヴァイはどんな気持ちなんだろう。
今まで、どんな気持ちでいたのだろう。


「ハンジ…」

「だけど前に進むしかないんだ。君はここにいる。だから次に君が成すべき事は、」

「生きて、帰る…」


ハンジは微笑んで、くしゃりとわたしの頭を撫でてくれた。
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