long/温かな光

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鐘が鳴って、第57回の遠征に向かった彼らが帰ってきた。

絶対に大丈夫。大丈夫。
いつも信じている言葉を呟きながらわたしは駆ける。





「え」


帰ってきた兵士の中に…リヴァイの傍に、リヴァイ班の面々はいなかった。
リヴァイに問うまでもない。
ここにいないと言う事は、いないのだ。

もう。



「リヴァイ」


と駆け寄れば、彼に少しの安堵の様子が見えた気もしたが、疲労は隠せていない。


「…おかえりなさい」


いつものように無事を喜ぶ笑顔が出なかった。代わりに涙が溢れ出す。
兵士達の様子を感じ取れば、すぐ先の未来がわたしには見えた。

調査兵団は、憲兵団にエレンを引き渡さねばならない。
巨人に対抗出来うる希望を失う事となってしまった。
あまりにも多すぎる犠牲と共に。

後方に見える荷馬車に、ミカサがいる。
あそこにエレンが寝ているのだろうか。


「ナマエ」


リヴァイが馬上からわたしの頭を撫でてくれた。
だけど彼に返す言葉は、見つからなかった。
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