long/温かな光
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「これは由々しき事態だわ」
と、兵長とナマエの様子を物陰から見ていたペトラが言う。オルオは欠伸をしているし、グンタは興味なさげに立体起動装置の手入れをしている。
俺はこの平和すぎる光景に眉尻を下げずにいられなかった。
「ま、兵長に憧れてんのはわかるが、度が過ぎてやがるな。恋愛ってのは付かず離れずが最短距離だ」
「オルオは黙ってて」
「ペトラ、お前は若すぎて知りはしないだろうがな、兵長はナマエを…」
「早く舌、噛んでくれない?」
何とかせねば士気に関わる。しかしなんでこんな事で士気が左右されなければならないんだと言う感情は、胸のうちに秘めておこう。
「ねぇエルド」
「ん、あぁ、なんだ」
「どうしたらいいのかしら、あの二人を仲直りさせる為には」
そんな事を言われても。
しかしペトラもやはり女の子なんだな。色恋事には首を突っ込みたがる。
「そうだな…やはりこの場合はナマエが兵長に謝罪をし、兵長の言う通りに本部へ戻るべきだろう」
「エルドは間違ってるわ。全然わかってない」
え。なんで俺がペトラに叱られてる?
「グンタに聞いてもダメそうだし…困ったわ」
「だがなペトラよ」
「ねぇオルオ。本当、早く舌噛んでくれない?」
「まぁ聞け」
とオルオは咳払いをして言葉を続けた。
「兵長はなぜかナマエがお気に入りだ。そしてナマエも兵長に入れ込んでいる。となれば話は簡単だ。こんな時に味方になってくれる奴ぁ、時間って奴だ」
「…おとなしく聞いた私がバカだったわ」
ペトラは「誰も乙女心がわかんないんだから」とブツブツ言いながらその場を後にした。
乙女心なんかわかってたまるか。俺達は乙女ではないのだから。