long/温かな光
□3-2
1ページ/2ページ
「あっれー?」
とハンジがペンで頭をボリボリ掻きながら棚を探っている。
「どうしたの、ハンジ」
「んー資料が見当たらないんだけど…ナマエ知ってる?この間のさ、奇行種についての報告書から抜粋したやつで…」
「ああ、これかな」
と、ハンジに資料を手渡す。
「え、なんでナマエが持ってたの?」
「いや、普通に調べてただけで」
「なんで、こんな専門資料を、ナマエが…?」
「恥ずかしいから言いたくなかったんだけど、単に字がわからなかっただけで」
「巨人の生態に興味が沸いてきたと見た!」
「沸いてません」
--------------------
ハンジと二人で昼食をとっていると、オルオが「隣、いいですか」と現れた。なんだかお疲れの様子だ。
「あれ、ペトラは?」
とハンジが尋ねると、
「あんなうるさい女房気取り、疲れるんすよ」
とため息をついた。
可愛いペトラに対してなにお前が勿体ない事言ってんだ…と言うか、女房気取り?どこが?むしろペトラは嫌がっているように見えてたけど。
「見つけたオルオ!」
ペトラも隣に現れて、一気にそこは賑やかになった。
「なんだよ、何しに来たんだよ!」
「わたしの宝物、返してもらうわよ!どこに隠したの!まさか無くしたんじゃないでしょうね!」
「知らねぇよ!」
「オルオったら、前にもそう言って私のペン貸したまま無くしたわよ!」
「知らねぇってば!ナマエ、なんとか言ってやってくれよ!」
もう少しボリュームを下げてほしいな…と思っていたわたしは、
「ペトラ、宝物って、何無くしたの?」
と尋ねる。
サーッと血の気の引く音と、同時にかぁっと頬を染める音がペトラから聞こえて、
「兵長の写真だよ」
とオルオが言った。
「ええぇぇえぇえ!!」
とペトラとハンジが同時に絶叫した。
いや、なんでハンジまで絶叫?
「ちょっ!ちょちょちょちょっとオルオ!ナマエの前でなに言ってんのよ、バッカじゃないのっ!」
「あの、別にわたしはなんとも…」
「ナマエとペトラがライバルって事ぉ!?」
「や、やだ分隊長!違いますからっ!」
場を鎮めようと思っていたのに、一気にそこは女子会のように盛り上がってしまった。エルドやグンタが「なんだなんだ?」と駆け付ける。
なぜこのタイミングで二人が来る…!
とその時、目の前をヒュンとなにかが飛んできて、パキンと音がした。
「うるせぇな。飯も静かに食えねぇのかテメェらは」
リヴァイの一喝でピタリと騒ぎが収まって、ペトラとオルオはトレイを持ったままそそくさと食堂を後にした。
「さすがはリヴァイ!」
と興奮気味のハンジのメガネが割れていた。