long/温かな光

□2-12
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昨夜、リヴァイはわたしを「綺麗だ」と言った。王都での事件の事も知っていると。そしてわたしの事を「どんな事があっても汚れない」と言ってくれた。
わたし一人が怖がっていただけなのだろうか。リヴァイはどんなわたしでも、離さないでいてくれるのだろうか。


「…ん、ナマエ、起きたのか?」

「う、うん…」

「ナマエ……」

「なに?」

「兵士に、なりたいか?」


なりたい。


「――うん」

「そうか」


しばらくして、リヴァイはわたしの体を背後から抱き寄せた。


「きゃ…」

「ナマエ」


リヴァイの鼻が、わたしの首筋にあたる。チリッと痛みが走り、印をつけられた事がわかった。


「ナマエ…俺より先に死なないと、約束できるか」

「え」

「巨人のエサになんて、ならねぇと」

「…約束する」

「………」

「一生懸命訓練して、巨人に負けない兵士になる。リヴァイに、ついてく」


それは、特に深い意味もない言葉だったのだけど、


「…だったら、もし、人類が巨人に勝てたら……」


リヴァイの心を動かすには十分なようだった。


静まり返った部屋で、永遠にも感じられる程の沈黙が流れた。

そして、


「そしたら……俺と、一緒に、…っ」


ぐ、とリヴァイが唇を噛み締めるように途中で言葉を飲み込んだものの、その深意をわたしは感じた。

それは幻だろうか。それともわたしは、まだ長い夢を見ているのだろうか。


「…悪い。なんでもねぇ」

「リヴァイ」

「突然、悪かった」


と、彼はわたしの首筋に顔を埋める。


「リヴァイ、あの…わたしこそ…」


わたしの勘違いでなければ、この答えは間違いないはずで、


「ずっと、…傍に、いさせて下さい」


振り向けば耳を真っ赤にした彼の顔があって。


「ナマエ。…どこにも行くな」

「リヴァイ、好き」



これから先、わたしにはリヴァイしかいない。
ぶっきらぼうで不器用でがさつで、だけど潔癖性なひと。そしてわたしに夢中なひと。

わたしはどこにもいかない。
だからお願い。神様。
この人を殺さないで。
この世界から消さないで。

ずっと、この人と歩いていけますように。
未来をリヴァイと見守っていけますように…。




第2部 END.

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