long/温かな光
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「エルヴィン!」
俺にはどうしようもなかった。彼女を止められるだけの言葉が思いつかなかった。だからエルヴィンに頼るのだ。
「どうしたリヴァイ」
「ナマエが立体起動の訓練をしている」
「…やはりか」
「止めてくれ。あいつは壁外に行きたがっている」
エルヴィンは少し困った表情を見せた。
それはナマエに対してではない。俺に困っているのだ。
…なぜ困る。おまえだって、ナマエは大事な存在だろう。
ナマエをみすみす巨人の餌にするつもりか。
「リヴァイ、おそらく彼女の意志は硬い。誰が何を言おうと、聞き入れないだろう」
「だからってナマエをこのままにしておいていいのか。あいつは巨人の恐ろしさを知らないんだ!」
「いやリヴァイ、言っただろう。彼女は巨人に両親を食われている。恐ろしさも十分知っている」
「エルヴィン…!」
「いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた」
エルヴィンは遠い記憶を思い描いているようだった。
こいつは俺の知らないナマエを知っている…。
「私は、彼女の意思を尊重したい」
「エルヴィン、お前…ナマエが大事じゃないのか」
「このまま彼女を閉じ込め続ければ、いつか勝手に離れていくぞ」
エルヴィンの言葉が胸に突き刺さった。
確かにナマエは頑固だ。しかし、だからと言って…
「お前が出来る事はひとつだ、リヴァイ」
「…なんだ」
「彼女が巨人に喰われないように、訓練してやれ」